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血便とストレスの危険性を専門医が徹底解説

公開日:2020年8月31日

更新日:2020年10月2日

現代社会は嫌になるくらいストレスが多いです。

日々仕事や生活が忙しく、ストレスがかかっている状況の中

「排便時に突然の血便・・・」

かなり不安になりますよね。

ただ、

・お腹も痛くないし下痢もしていない

・他に心当たりはなく血便の原因はストレス以外に考えられない・・・

そんな思いで検索をされた方たくさんいると思います。

結論からいいますと、ストレスで血便にはなりません。

「ストレスも多いからそのせいだろう」

と、ストレスのせいにしてこれを放置するのは大変危険です。

血便は大腸がんなど命にかかわる重大な病気が隠れている可能性がかなり高いです。

この記事を書いた私の名前は金澤周(かなざわ あまね)です。

埼玉県の草加(そうか)市にある、「草加西口大腸肛門クリニック」の院長です。

また、胃腸と肛門の専門医であり指導医でもあります。

いままで血便や下血で悩む患者さんを10,000人以上診察してきました。

その経験をもとに、この記事では

『血便がストレスで起こらない理由』

『血便の危険性と原因』

について説明します。

※血便と下血(げけつ)との違い

今回の記事では血便を中心に説明をしています.

血便と下血はどちらとも「肛門から血がでる」ことをいいます。

ただ、血の色に違いがあります。

血便は便に鮮血が混ざっていて赤色。

下血は古い血が混ざることにより便が黒くなっています。

出血してから時間がたつにつれ、便に混ざる血は赤から黒に変わります。

そのため、血がでているところが肛門に近いほど血液は赤く遠いほど黒くなります。

胃や十二指腸など肛門から遠いところからの出血ほど便の色は黒くなります。

血便とストレスの関係

結論、ストレスでお尻から血がでる病気はほとんどありません。

特に、下痢や腹痛がなく血がでる病気はまずないと言えます。

ストレス以外に体に不調はないが血便が出るかたは、大腸や肛門の病気の可能性が高いです。

ここからは、ストレスが原因で起こる過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)について説明します。

そのあとで、下痢や腹痛がないのに突然血便をおこす病気にについて解説します。

ストレスが原因で起こる腸の病気『過敏性腸症候群』

「最近仕事でストレスが多くそれに伴ってお腹の調子がわるくなり困っています」

「休みの日は大丈夫なのですが,仕事や学校に行こうとすると朝お腹が痛くなり何回もトイレに行きます」

「会議中やプレゼンの時などトイレに行けない状況で,緊張するとお腹が痛くなりトイレに行きたくなります」

などといった症状でクリニックを受診される方が多くいらっしゃいます。

ストレスが原因となりお腹の不調を起こす病気に『過敏性腸症候群』があります.

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)は大腸がんや腸炎など大腸自体におかしいところがないのが特徴です。

それにもかかわらず、腹痛を伴う便秘や下痢または便秘と下痢を交互に繰り返すなどの便通異常が続く病気です。

日本では10〜15%程度の人がこの病気であるといわれています。

若い人や女性に多く、年齢とともに減ってくることが分かっています。

命にかかわる病気ではありません。

ただ、お腹の痛み・便秘・下痢・不安などの症状がでます。

そのため、日常生活に支障をきたすことがあるので適切な治療が必要となります。

過敏性腸症候群のはっきりとした原因はまだわかっていません。

ただ、身体的・精神的ストレスの関与,内臓知覚過敏や腸内細菌叢(腸内フローラ)が考えられます。

過敏性腸症候群の詳細は、

『下痢は危険のサイン!下痢の原因や治療法を専門医がわかりやすく解説』

の記事をご覧ください。

過敏性腸症候群が原因で血便をきたすパターンは以下があります。

・下痢になり排便回数が増え、もともとあった肛門の病気(痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔))が悪くなり血がでる

・便秘となり便が硬くなってしまい血がでる

・排便時に強くいきむことによって,いぼ痔が悪くなり血がでる

・硬い便をすることで肛門が切れ(切れ痔)てしまい血がでる

このようなパターンが考えられます.

過敏性腸症候群は、腹痛や下痢や便秘といった症状が必ずあります。

過敏性腸症候群でおしりの状態が悪く血が出てるかたは治療と同時におしりの病気の治療も必要となります。

一度クリニックを受診してみてください。

下痢や腹痛を伴わずに突然の血便をおこす病気

大腸肛門の病気の多くは、

・腹痛

・おしりの痛み

・下痢や便秘

これらの症状が伴います。

ただ、これらなしに突然の血便が起こったかたはかなり注意してください。

腹痛・下痢・便秘がなく突然血便をおこす病気として以下のものが考えられます。

1.いぼ痔

「今朝トイレにいったときにお腹もおしりも痛くないのに血便が出ました」

と突然の血便に不安になり来院される患者さんが多くいらっしゃいます。

突然の血便で最も多くあるのはいぼ痔からの出血です。

いぼ痔は大きくなると肛門から飛び出して気づきます。

ただ、小さいと自覚症状は特にありません。

このため突然の出血(血便)の原因となります。

便秘気味で強くいきんだり前日の夜にアルコールを飲みすぎたりすると痔に血がたまります。

それにより血がでます。

いぼ痔は放置してもがんになりません。

生活に支障がなければ治療の必要はありません。

重要なのは

『イボ痔からの血だと思ってたら、実は大腸癌からの出血だった』

という事態を避けることです。

40歳以上になると大腸癌になりやすくなります。

このため,40歳以上の方でお尻から血がでるかたは大腸内視鏡検査を1度おすすめします。

2.大腸憩室出血(だいちょうけいしつしゅっけつ)

「お腹の痛みも下痢もないのに血便が急に出ました」

と、突然の血便で驚き来院される患者さんがいらっしゃいます。

腹痛や下痢を伴わない突然の血便には大腸憩室出血も考えれます。

大腸憩室とは?

【大腸憩室症の内視鏡写真 オリンパス株式会社から引用】
大腸憩室は、大腸内の圧力が上がることで起こります。

それにより、大腸の壁の弱い部分が外側に凹んでしまう状態です。

大腸憩室自体は皮膚でいうとシミやシワと一緒です。

体の年齢に伴う変化のため放置したからといって癌になるわけではないです。

大腸内視鏡をした時に偶然発見されることも多くあります。

体の変化の一つです。

そのため、大腸憩室自体は治療の対象にもなりません。

ただ、この憩室が原因で血がでれば治療がいります。

大腸憩室出血の特徴

憩室出血は腹痛や下痢などの自覚症状をがなく、いきなり血が出ることで起こります。

突然起こるため、患者さんも驚いて来院されます。

日本において大腸憩室のできるる人は増えています。

大腸憩室を持っている人の血が出る確率は、

・1年で0.2%

・5年で2%

・10年で10%

と報告されており決して少ない数字ではありません。

大腸憩室出血は60歳以上の高齢者が約80%を占め日本においては男性に多いです。

大腸憩室出血による死亡率は約1%で他の病気で起こる大腸出血より死亡率が低いことが報告されています。

また、

・肥満

・NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)

・アスピリン

などは大腸憩室出血のリスクを高めます。

高齢の方で以前の大腸内視鏡医検査で憩室を指摘されている方。

他の病気の治療でNSAIDs やアスピリンを内服している方。

このような方は、大腸憩室の可能性を頭の片隅においていただき血便がでたさいは医療機関にすぐに行きましょう。

大腸憩室出血の診断方法は?

・詳細な問診

・血圧,脈拍の測定

・血液検査

などを行い出血量を予測します。

出血量が多ければ輸血や止血処置が必要なため入院のできる総合病院をご紹介いたします。

大腸憩室出血の可能性を疑う場合の診断方法として、大腸内視鏡検査が推奨されています。

大腸憩室出血の治療方法は

安静にするなどで自然に血が止まることが多いです。(自然止血率70〜90% ).

自然に血がとまらないときは、大腸内視鏡検査で止血術を行います。

これらで血が止まらなければ、カテーテルを使った手術を行います。

それでも血が止まらなければ、最終手段として大腸をとる手術がとられます。

繰り返す大腸憩室出血に注意

先ほど述べたように、大腸憩室は加齢でおこります。

そのため、憩室自体は一度できると自然にはなくなりません。

憩室からまた血がでるパターンもあります。

日本の大腸憩室出血の再出血率は

・1年後で20〜35%

・2年後で33〜42%

・約3割の方が2年以内に再度出血するリスクあり

憩室出血を経験された方はまた血がでる可能性もあることを頭に置いといてください。

また、血がでたときはすぐに医療機関を受診してください。

3.潰瘍性大腸炎

【潰瘍性大腸炎の内視鏡写真 オリンパス社から引用】

潰瘍性大腸炎は大腸に炎症をおこし、

・下痢

・血便

・下血

・粘血便

・腹痛

・体重減少

などの症状を起こします。

厚生労働省により難病に指定されてます。

原因や病気をしっかりと治すことのできる治療法は見つかっていません。

潰瘍性大腸炎の患者さんは全国で約16万人です(2016年)

20〜30歳の方に多いです。

ただ、小児や50歳以上で起こるのもまれではありません。

経過としては、

・腸の炎症がおこり,症状が強くなる「活動期」

・症状がおさまっている「寛解期」

があり、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。

潰瘍性大腸炎の方の多くは、下痢や腹痛などの症状を伴うことが多いです。

ただ、中にはそれらの症状がなく血便のみで発症する方もいます。

潰瘍性大腸炎は20〜30歳の若い方に発症することが多い病気です。

中学生や高校生で発症する方もいらっしゃいます。

若い方で「自覚症状のない出血」の場合には潰瘍性大腸炎の可能性もあります。

医療機関で相談を1度してみてください。

4.大腸がん

これまで大腸肛門外科医として多くの大腸がんの患者さんの診療に関わってきました。

ただ、よくある経過として

・数年前からおしりからの出血があった

・特に下痢や腹痛はなかったので痔と思って放置

・数ヶ月前から便が出にくくなり,最近は下痢になってきた

・やっと病院に行き大腸内視鏡検査で大腸に進行癌が見つかり手遅れ

といったケースです.

【大腸癌により腸が狭くなっている内視鏡写真】
(オリンパスHP Endo Atlasより引用)

大腸がんは写真のように進行すると,便秘や下痢などの排便異常をきたします。

排便異常を起こす前の症状として血便が生じる場合があります。

ただ、癌がかなり大きくなっても血便を伴わないこともあります。

『血便』は大腸がんを発見するためにあなたの体が発信している重要なサインといえます。

このため、腹痛や下痢などない場合も『痔からの出血だろう』と思わず一度医療機関を受診してみてください。

大腸がんは早期発見・早期治療により完治が望める癌の1つです。

40歳を越えると大腸がんは増えてきます。

・40歳以上で血便がある

・これまでに一度も便潜血検査をしたことがない

・大腸内視鏡検査をしたことがない

このような人は是非一度当クリニックにご相談ください。

以上、腹痛やおしりの痛み下痢や便秘などの自覚症状なしに血便をおこす病気についてまとめてみました。

血便で悩まれている方は怖がらず恥ずかしがらずに大腸肛門科を受診してみてください。

ストレスで血便と思わず診察をうけましょう

ストレスかなと思い、血便で大腸肛門科を受診した時の診察手順は以下のとおりです。

①問診

患者様の症状やこれまでの経過を詳しくうかがわせていただきます。

②肛門診察

肛門の近くに血便(出血)の原因となる病気がないかを診察します。

指や肛門鏡という専門の器具を使って診察をします(後ほど詳しくお話します)。

③診断の決定

考えられる診断名をお伝えします。

④痔が原因と考えられる場合

軟膏や飲み薬による治療を提案し1~2週間後に再受診をしていただきます。

⑤大腸からの出血の可能性がある場合

大腸から血がでてる可能性があるときは、大腸内視鏡検査をおすすめします。

※④での再受診のとき血便が続いていた場合は大腸内視鏡検査をおすすめしています。

血便の恥ずかしくないおしりの診察

「おしりの診察は恥ずかしいからなかなか来られなくて...」

「どういうふうに診察をするのかがわからないので不安で...」

といった声が聞かれます。

そこで、草加大腸肛門クリニックでは患者さんが恥ずかしくないようプライバシーに配慮した診察を心がけております。

診察の手順は以下のとおりです。

①カーテンの中で,ズボンや下着をおしりが見えるくらいまで下ろしていただき診察台に横になっていただきます

②おしりに,シートをかけさせていただきます.これで,診察の準備が完了です

③視診察(見て観察)をします

④指診察(指で診察)をします

⑤肛門鏡(痔の様子などを詳しく観察できる特殊な器械)で診察をします

⑥診察が終わりましたらカーテンの中でゆっくりお着替えをしていただきます

以上の流れで診察をさせていただきます

女性の場合には診察の間すぐそばに女性スタッフがいます

安心して診察を受けていただけます。

血便での大腸内視鏡検査

おしりの診察の後に大腸からの出血が疑わしい場合は大腸内視鏡検査をおすすめします

先に述べたように血便は大腸がんのサインである可能性もあり,命にかかわる病気を知らせる体の悲鳴です。

そのため、大腸内視鏡検査を行い血便の原因を特定します。

当クリニックの大腸内視鏡検査は痛みや恥ずかしさはほとんどありません。

まず、当クリニックでは下のように最新の内視鏡を取り入れています。

カメラを入れるときの痛みをより減らす「炭酸ガスシステム」も入れています。

また、私をはじめ当クリニックのドクターはいままで10,000~20,000例以上の大腸内視鏡検査をしてきました。

痛みがでないテクニックを体得しています

患者さんからもよく

「寝ていたら終わった」

「こんなスムーズに終わるなら早めに受けておけばよかった」

など、嬉しい言葉をたくさんいただきます。

また、大腸カメラをするときの体勢は以下のイラストの通りです。

おしりが少しだけ見える検査着をきていただき、横向きになるだけです。

恥ずかしさもないと言えます。

「恥ずかしくて無理」

など言われる患者さんもいままでいたことがありません。

このように痛みがなく安心して受けられる検査を当クリニックでは行っています。

検査自体も15~20分で終わります。

以下に検査の予約から検査終了までの流れ簡単にまとめてみましたのでご参考ください。

最後のまとめ

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。

ストレスが引き金となり、大腸や肛門から出血をする病気はほとんどないです。

特に下痢や腹痛などがなく血だけでる病気はまずないといえます。

ストレスがかかっている以外、体に不調はなく血便が出るかたは大腸や肛門の病気の可能性が高いです。

一度クリニックでご相談ください。

特に,命に関わる病気である大腸がんを見逃さないためにも!

この記事が

・あなたとあなたの大切な人の健康と病気の早期発見
・大腸肛門科を受診する際の不安の軽減

これらのためにお役に立てれば幸いです.

草加大腸肛門クリニック院長 金澤 周 (かなざわ あまね)


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〒340-0034
埼玉県草加市氷川町2144-11 アークプラザⅡ 3F

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日曜日・祝日・振替休日