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妊娠中に血便は危険!!専門医が妊娠中のお尻のトラブルを徹底解説

公開日2021年4月6日

妊娠してからおしりがはれたり痛くなったりする人は多いです。

また、おしりから何かが出てきたり出血をしたりする人もいます。

妊娠してからお尻の悩みで不安になるかたはたくさんいます。

「最近便も硬いし...」

「痔かな?」

「他の病気かな?」

「妊娠中だから検査もできないし...」

「痛み止め飲んでいいのかな?」

「誰に相談したらいいのかな...」

いろいろと考えてしまうと思います.

妊娠中は妊娠前と違います。いろいろな体調の変化が出てきます。

便秘や痔の悪化、それにともなう血便もその1つです。

「便をしたら便器が真っ赤になりました!」

と驚いて来院される妊婦さんもいらっしゃいます。

痔は悪い病気ではないです。

そのため基本的には様子をみていいです。

ただ、痛みや出血があるときは治療することをおすすめします。

楽に生活ができ生活の質が上がるからです。

この記事を書いた私の名前は金澤 周(かなざわ あまね)です。

埼玉県の草加(そうか)市にある,「草加西口大腸肛門クリニック」の院長です。

また、胃腸と肛門の専門医であり指導医でもあります。

いままで血便で悩む患者さんを10,000人以上診察してきました。

今回の記事では,

『妊娠中の血便』

『妊娠と痔の関係』

について説明をしていきます。

妊娠中に血便!でもお尻も腹痛もない・・・

妊婦さんで「血便があったのに,痛みが全くないんです...」

と不安になり来院される方は多くいらっしゃいます。

妊娠中の血便の原因で最も多いのは痔からの出血です!

痔からの出血のときにはお腹の痛みはありません。

おしりの痛みはある時とない時があります。

『内痔核(内側のいぼ痔)』→出血のみ

『血栓性外痔核(外側のいぼ痔)』→痛み+出血

『裂肛(切れ痔)』→痛み+出血

というのが基本です。

『血栓性外痔核(外側のいぼ痔)』は血栓という血豆ができたももの。

腫れと痛みが中心で血豆がやぶれると血がでます。

『裂肛(切れ痔)』はするどい痛みあり紙につくくらいの出血が特徴です。

『内痔核(内側のいぼ痔)』は出血が中心です。

ある程度の大きさになると強くいきんだりした時に肛門からとびでてきます。

とびでると痛みや違和感がでてきます。

指で押したりすると肛門に戻るときがあります。

ただ、指で押しても戻らないのは『嵌頓(かんとん)痔核』

かなり強い痛みと腫れがでてきて血がでます。

『嵌頓(かんとん)痔核』になると症状がよくなるまで最低1〜2週間はかかります。

ただ、痛み止めなどを飲んでも根治はしないので治療に時間がかかります。

「排便時に肛門から何か出てくるなぁ...」

「おしりが腫れて痛い!」

「排便のときに強い痛みがある!」

と感じている妊婦さんは、痔が悪くなるまえに通院中の産科や肛門科で相談してみてください。

妊娠中は痔が悪化する!?

当クリニックにも出産が近い妊婦さんが
「おしりが腫れて痛いです」
と来院されることがよくあります。

多くは先ほど述べた肛門の外にできた一時的な血栓性外痔核です。

ただ、なかには妊娠とともに内痔核がはれて出てくる方もいます。.

このように妊娠中は痔が悪くなる人が多いです。

どうしてでしょうか?

画像のように妊娠することによって体液量や血流量が増えます。

これによって血管の塊である痔に流れる血液が増えます。

これだけでも痔には血液がたまりやすくなります。

また、妊娠中期〜妊娠後期は子宮が大きくなります。

すると静脈が圧迫されて血液がうっ滞(心臓方向に戻りにくくなる)します。

それにより痔のにさらに血液がたまります。

その結果、痔がはれ悪くなります。

さらに、妊娠中には『プロゲステロン(黄体ホルモン)』と呼ばれる女性ホルモンがたくさんでます。

プロゲステロンによって腸の動きがゆっくりとなり便秘しやすくなります。

便秘になることで排便時に長時間強くいきむことになります。

そにより痔に血液がたまりやすくなりはれます。

その結果、痔がさらに悪くなります。

妊娠中に痔を悪くさせないためには『トイレでいきむのは5分以内』にしてください。

5分たっても便がでないときは一度トイレを出ましょう。

そしてまた行きたくなったら行きましょう。

便意がないのに無理に便をだそうとするのは控えてください。

便が硬くて出にくいかたは、食事を見直しましょう。

それでもよくならないときは、便をやわらかくする薬を飲まなくてはいけない場合もあります。

まずは通院中のクリニックで相談をしてみてください。

妊娠中に血便がでたら薬を使うのは危険なのか

「妊娠中だからできるだけ薬は使いたくない」

と、妊娠中に使う薬による胎児への副作用が心配な方は多いです。

薬剤の中には胎児への影響が大きい薬もあります。

ただ、適切な薬を使えばその心配はいりません。

必要な時に適切な薬を短期間で使うことが大切です。.

妊娠中の血便の原因として、

『便秘』『痔核の悪化』があります。

便秘になり強くいきむことで痔核がさらに悪くなります。

その結果、血便につながるパターンが最も一般的です。

治療としては画像①痔の治療と②便秘の治療を同時に行います。

①痔の治療は軟膏や座薬などの薬を使って治療します。

痔の治療で使う軟膏や座薬はステロイドが含まれているものもあります。

ただ、短期で使うには副作用の心配はほとんどありません。

②便秘の治療は酸化マグネシウムやラキソベロン®などの内服薬を使います。

食物繊維が不足しているときは野菜を食べる量を増やすことも大切です。

日々の食事内容の見直しも提案させていただきます。

血便の恥ずかしくない診察と治療

【当クリニックの診察室の様子】

血便やお尻の痛みの診察は

「本当に出血の原因となる痔があるのか」

「肛門の近くの直腸に出血の原因があるの」

「大腸がんなど命にかかわる病気があるか」

これらが目的です。

ただ、

「おしりの診察は恥ずかしい・・・」 」

という女性からの声が聞かれます。

しかしその心配はいりません。

私が院長を務める「草加肛門胃腸クリニック」では女性や妊婦さんが恥ずかしくないよう配慮してます。

また、体の負担が少ないように以下のように診察を行ってます。

①診察台の上に緑色のシートを2枚しきます。

カーテンの中で衣類や下着をおしりが見えるくらいまで下ろしていただきます。

診察台のシートの上に左側を下にして横になっていただきます。

もう一枚のシートはおしりをかくす様に上からかけてください。

おしりがほとんど見えない状態です。

【診察台の上に緑色のシートを2枚ご用意いたします】

【カーテンの中で衣類や下着をおしりが見えるくらいまで下ろしていただきます。

診察台のシートの上に左側を下にして横になっていただきます。

もう一枚のシートはおしりをかくす様に上からかけてください(実際はカーテンを閉じています)】

②看護師が体の位置とシートの位置を調整させていただきます。これで診察の準備が完了です!

③視診察(見て診察)をします.

④指診察(指で診察)をします.

⑤肛門鏡(痔の様子などを詳しく観察できる特殊な小さな器械)で診察をします.。

【診察に使う肛門鏡】

⑥診察が終わりましたらカーテンの中でゆっくりお着替えをしていただきます。

以上の流れで診察をさせていただきます。

女性の診察の際にはすぐそばに女性スタッフがおります。

安心して診察を受けていただけます。

【女性専用待合室】

また、当クリニックは女性専用待合室を設置いたしております。

そのため、診察前後のお時間も安心してお過ごしいただけます。

妊娠中の血便は大腸がんや難病の可能性もあり

妊娠中の血便の原因はほとんどが痔です。

「痔だから大丈夫!」

そう思っている方も多いです。そして間違っていません。

普通は大丈夫です。

ただ、下痢・粘液・腹痛・発熱などがある人は要注意です。

妊娠中に特別多いというわけではありません。

若いかたに発症する

・難病である潰瘍性大腸炎

・大腸がん

・命に係わる感染性腸炎(いわゆる食中毒)

を発症したりすることはあります.

例えば難病である潰瘍性大腸炎は以下の通りです。

【潰瘍性大腸炎の内視鏡写真】

妊娠中には胎児への影響もあります。

そのため、できる検査は限られます。

ただ、必要なときには総合病院での大腸内視鏡検査やCTなどが提案されます。

先にも述べたように妊娠中の血便で日頃見られない下痢・粘液・腹痛・発熱などがある人は要注意です。

痔以外の原因による出血の可能性もあります。

『血便はからだが発している異常のサイン』

ということを忘れないでください。

「痔からの出血だろう...」

と放置せず、通院中の産科や大腸肛門科・消化器内科で相談をしてみてください。

【当クリニックの受付と男女共通待合】

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。

妊娠中という特別な状況での血便はとても不安になると思います。

まわりに相談できる人がいない場合などはなおさらですよね。

おひとりで不安をかかえて悩まないでください。

悩んだらまず、かかりつけの産科の先生や大腸肛門科で相談をしてみてください。

この記事が

・あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために

・大腸肛門科に行くときの不安の軽減

これらのために,少しでもお役に立てれば幸いです 。

最後に、今回の記事を書くにあたり

「広尾まきレディスクリニック」の手塚真紀先生にお話をお伺いいたしました。

手塚先生ありがとうございました。

草加西口大腸肛門クリニック院長 金澤 周(かなざわ あまね)