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血便とアルコールの関係を専門医が徹底解説!

公開日:2020年7月20日

更新日:2020年7月22日

アルコールを飲みすぎた次の日に

「朝、トイレに行ったら血便があり便器が真っ赤になっていた!」

という経験をする人がいます。

血便や下血(げけつ)は、大腸がんなど命に関わる重大な病気が隠れていることもあります。

血便の原因は必ずしも痔だけではありません.

「血便があったけど痔だろう・・・」

と思って放置するのは大変危険です。

命にかかわる大腸がんの可能性が高いからです。

私がつとめるクリニックにもアルコールをとった後に血便があり、心配で来院される患者さんが多くいます。

この記事を書いた私の名前は金澤周(かなざわ あまね)です。

埼玉県の草加(そうか)市にある、「草加西口大腸肛門クリニック」の院長です。

また、胃腸と肛門の専門医であり指導医でもあります。

いままで血便や下血(げけつ)で悩む患者さんを10,000人以上診察してきました。

その経験をもとにこの記事では,

『お酒を飲んだあと血便があったらどうしたらいいのか』

について説明します。

最後には、
「アルコールを減らすことによる腸やおしりに対するメリット」
についても詳しく解説してます。

※血便と下血(げけつ)との違い

今回の記事は血便を中心に説明してます。

血便と下血はどちらとも肛門から血がでることをいいます。

ただ、血の色に違いがあります。

血便は便に鮮血が混ざっていて赤色の状態です。

下血は古い血が混ざることにより便が黒くなっている状態です。

出血してから時間がたつにつれ、便に混ざる血液は赤色から黒色に変化します。

そのため、血がでているところが肛門に近いほど血液は赤く遠いほど黒くなります。

胃や十二指腸など肛門から遠いところからの出血ほど便の色は黒くなります。

アルコールが痔に与える悪影響

お酒を飲んだ後に血便があると

「痔だろう」と思う人は多いです。

確かにそれはあってます。

ただ、痔ではなく大腸がんが原因のパターンもあります。

このカテゴリでは痔について、次のカテゴリでは
血便と大腸がんの関係について説明します。

アルコールを取りすぎると痔が悪くなり血便がでるのは
2つのパターンがあります。

①アルコールで肛門に血がたまり痔が悪くなり血便になる

アルコールをとりすぎると血管が広がり血流量が増えます。

その結果、上のイラストのように肛門周りの血流量も増え痔に入る血の量も増えます。

しかし、静脈が血液を心臓のほうへ戻す血の量は変わりません。

そのため、痔に血がたまりうっ血した状態となり出血(血便)や痛みの原因になります。

痔は下のイラストのようなものがあります。全ての痔がアルコールでうっ血して出血や痛みが強くなります。

②アルコールで起こる下痢が痔を悪くして血便になる

アルコールをたくさんとると、水分やミネラルの吸収が悪くなります。

すると腸へいく水分が多くなり下痢を引き起こします。

さらに、糖分や脂肪分の分解・吸収も弱まり下痢をさらに起こしやすくなります。

下痢が増えると肛門の負担が増えたり、傷ついたりします。

そのため、もともとある痔核(いぼ痔)がはれたり、肛門が避けたりする(裂肛:切れ痔)ことにより出血や痛みの原因になります。

その血便本当にアルコールが原因ですか?

このように、アルコールをとったあとの血便は痔が原因なこともあります。

ただ、血便をきたす原因は他にもたくさんあります。

特に日頃からお酒を多く飲んでいるかたは注意です。

日常的にお尻の調子が悪く出血を伴っていたらなおさらです。

このようなとき、

「血便があったけど痔からの出血だろう...」

と思って放置するのは大変危険です。

血便には、大腸がんなど命にかかわる危険な病気のサインでもあるからです。

実際に、

お酒を飲んだあとの血便を痔だと思い放置

お酒もやめず何ヶ月も放置

日常的に下痢や腹痛が生じる

家族から勧められてクリニックを受診

大腸内視鏡検査で大腸癌が発見

このような方がたくさんいます。

【大腸癌により腸が狭くなっている内視鏡写真】
(オリンパスHP Endo Atlasより引用)

このような状況になると腸の通り道が狭くなり硬い便は出ません

下痢でないと排便ができなくなります。

また、便がたまることで激しい腹痛も起きるときがあります。

大腸がんであれば自分がものすごく苦しむのはもちろん、
家族や周りの人も経済的にも精神的にも苦しむことになります。

大腸がんは命にかかわります。

そのため血便は放置せず、必ず大腸肛門科を受診してください。

アルコール摂取後の血便で悩む方の診察方法

血便で大腸肛門科を受診した時の診察手順は以下のとおりです.

①問診

患者様の症状やこれまでの経過をお伺いします。

②肛門診察

肛門の近くに血便(出血)の原因となる病気がないかを診察します。

指や肛門鏡という専門の器具を使って診察をします(後ほど詳しくお話します)。

③診断の決定

考えられる診断名をお伝えします。

④痔が原因と考えられる場合

軟膏や飲み薬による治療を提案し1~2週間後に再受診をしていただきます。

⑤大腸からの出血の可能性がある場合

大腸内視鏡検査をおすすめします。

※④での再受診のとき血便が続いていた場合は大腸内視鏡検査をおすすめしています。

血便の恥ずかしくないおしりの診察

「おしりの診察は恥ずかしいからなかなか来られなくて...」

「どういうふうに診察をするのかがわからないので不安で...」

といった声が聞かれます。

そこで草加大腸肛門クリニックでは患者さんが恥ずかしくないようプライバシーに配慮した診察を心がけております。

診察の手順は以下のとおりです。

①カーテンの中でズボンや下着をおしりが見えるくらいまで下ろしていただき診察台に横になっていただきます。

②おしりにシートをかけさせていただきます。これで診察の準備が完了です。

③視診察(見て観察)をします。

④指診察(指で診察)をします。

⑤肛門鏡(痔の様子などを詳しく観察できる特殊な器械)で診察をします。

⑥診察が終わりましたらカーテンの中でゆっくりお着替えをしていただきます。

以上の流れで診察をさせていただきます。

女性の場合には診察の間すぐそばに女性スタッフがいます。

安心して診察を受けていただけます。

血便での大腸内視鏡検査

おしりの診察の後に大腸からの出血が疑わしい場合は大腸内視鏡検査をおすすめします。

先に述べたように血便は大腸がんのサインである可能性があるからです。

血便は命にかかわる病気を知らせる体の悲鳴です。

そのため、大腸内視鏡検査を行い血便の原因を特定します。

当クリニックの大腸内視鏡検査は痛みや恥ずかしさはほとんどありません。

まず当クリニックでは下のように最新の内視鏡を取り入れてます。

カメラを入れるときの痛みをより減らす「炭酸ガスシステム」も入れています。

また、私をはじめ当クリニックのドクターはいままで10,000~20,000例以上の大腸内視鏡検査をしてきました。

痛みがでないテクニックを体得しています。

患者さんからもよく

「寝ていたら終わった」

「こんなスムーズに終わるなら早めに受けておけばよかった」

など嬉しい言葉をたくさんいただきます。

また、大腸カメラをするときの体勢は以下のイラストの通りです。

おしりが少しだけ見える検査着をきていただいて横向きになるだけです。

恥ずかしさもないと言えます。

「恥ずかしくて無理」

など言われる患者さんもいままでいたことがありません.

このように痛みがなく安心して受けられる検査を当クリニックでは行っています。

検査自体も15~20分で終わります。

以下に検査の予約から検査終了までの流れ簡単にまとめてみました。

参考にしてください。

アルコールを減量することによる腸とおしりに対するメリット

ここまで、

・血便とアルコールの原因

・血便と痔や大腸がんの関係

・診察や大腸内視鏡検査のながれ

これらについて説明してきました。

最後に、お酒を減らすことによる腸とおしりに対するメリットについてお話しします。

アルコールを減らす腸とおしりに対するメリットは以下の3つです。

①アルコールを減らすことで下痢が良くなる

「アルコールを飲みすぎると次の日に下痢で何回もトイレに行く」
という方は、アルコールを減らすことで下痢がよくなります。

先にも述べましたが、アルコールをたくさん飲むと水分が体に吸収されにくくなり下痢を引き起こします。

糖分や脂肪の分解や吸収も低くなり下痢をさらに起こしやすくなります。

アルコールは食欲増進の効果もあります。

そのため、飲み会などでは揚げ物などつい油っぽいものを一緒に食べてしまいます。

アルコール自体で下痢をするのに加えてアルコールにより脂肪分の分解や吸収も低下しているため
下痢をより起こしやすくなります。

1日にビールを3本飲んでいる人ならまずは1本減らしてみる。

お酒を飲む時に揚げ物などの油っぽい食事は少し減らしてみる.

そんなちょっとした頑張りで下痢から解放されます。

②アルコールを減らすことで痔の症状がよくなります!

先日、痔の出血で困って来院した患者さんがいらしゃいました。

そのかたは毎日飲酒をしてたため、飲酒量を減らすよう提案しました。

1ヶ月後にいらっしゃったときには飲酒を減らしたことで出血はゼロ。

「快適な生活を送ることができている」
ととても満足されてました。

この患者さんはとてもまじめな方で1ヶ月間アルコールを全く飲まなかったとのことです。

前述の「アルコールがおしりに与える悪影響」のとこでも述べましたが、
アルコールはおしりに対して百害あって一利なしです。

排便時に痔が脱出する症状で困っている方にもアルコールを減らすのは効果的です。

痔の腫れが良くなり、脱出の程度や頻度が減ります。

アルコール摂取の習慣があり,出血や痛みや脱出など,痔の症状でお困りの方は,まずはアルコールを減量してみてはいかがでしょうか?

③アルコールを減らすことで大腸がんのリスクを下げれます

高齢化と生活週間の欧米化により大腸がんにかかる方が増えてます。

厚生労働省の最新がん統計では2018年の大腸がんの死亡数は

・男性では3位

・女性では1位

・男女合計では2位

となっており,多くの方が大腸がんで亡くなっています。

(大腸ガンについて詳しく知りたい方は,このサイトの「大腸がんの症状・原因・治療法を専門医が徹底解説」をご参照ください)

大腸がんの原因には様々な生活要因があると考えられています.

科学的に証明されているものでは大腸がんのリスクを上げるものとして男女ともにアルコールがあげられてます。

アルコールは男性では『確実』にリスクを上げ女性では『ほぼ確実』にリスクをあげることが証明されています。

大腸がんの予防という意味でもアルコール量にして1日20g(アルコール濃度5%のビール1本)程度にとどめましょう。

アルコールを減量するだけで大腸がんのリスクを減らすことができます。

今日からできる大腸がんの予防としてぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。

最後のまとめ

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。

血便とアルコールの関係についておわかりいただけたでしょうか。

アルコールはおしりにとって百害あって一利なしです。

さらに、アルコールはおしりの状態を悪化させるだけでなく
大腸ガンのリスクを『確実』に上げる因子です。

自分の飲酒量を見直してみて「少し多いな」と感じた方は大腸がんの予防のためにも

節度ある飲酒(アルコール量にして1日20g(アルコール濃度5%のビール1本)程度)を心がけてみてください。

そして、血便の際にはなるべく早めに大腸肛門科を受診してみてください。

この記事が

・皆様の健康と病気の早期発見
・肛門科を受診する際の不安の軽減
これらのためにお役に立てれば幸いです.

草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)


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