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下痢は危険のサイン!下痢の原因や治療法を専門医がわかりやすく解説

公開日:2020年5月10日

更新日:2020年5月21日

日頃から下痢に悩んでいる人は多いですよね?

「トイレがないところには不安で行けない・・・」

「いつ下痢になるかわからないからあまり遠出をしたくない」

「できればトイレに行きたい時に行ける環境で仕事をしたい」

こんな悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?

クリニックにも下痢で悩んでいる方が多く来院されます。

・下痢をよくする

・下痢と便秘をくり返しています

・最近、下痢が続いて体がだるいしやせてきた

・下痢に血や粘液もまざり、お腹が痛い

・急に下痢をして熱もあります

という人など、

同じ下痢でも患者さんの訴えは多くあります。

これらの症状を、

「下痢だからそのうち治るだろう」

「ドラッグストアで薬を買って様子をみよう」

と思って放置するのは大変危険です。

・命にかかわる大腸がん

・治療法が見つかってない潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)

・重症な感染性腸炎

などを見逃すことにもなるからです。

この記事を書いた私は金澤周(かなざわ あまね)です。

埼玉県草加市にある「草加西口大腸肛門クリニック」の院長です。

また、胃腸と肛門の専門医・指導医でもあります。

いままで下痢で悩む患者さんを10,000人以上診察してきました。

その経験をもとにこの記事では

・下痢の症状や原因

・急に下痢になった時の対処法

・過敏性腸症候群について

これらについて詳しく説明していきます.

この記事だけで下痢に対する悩みや対処法が全てわかります。

下痢とは(どういう状態が下痢か)

下痢は、便が水のようになることを言います。

少し詳しく説明すると、

・下痢は水のような便の回数が増える

・1日に200ml以上の便をする

このような状態と定義されています。

正常だと、小腸と大腸で飲んだ水・胃液・唾液の99%が吸収されます。

この小腸や大腸からの水分吸収が減ると下痢をおこします。

逆に、胃腸からでる水分が増えることでもおこります。

つまり、胃や腸が水分の出し入れを正しくできないと下痢になります。

お腹の水分の出し入れの流れは上の図のようになります。

口から入る水が約2リットル。

消化液が約7リットル。

合わせて約9リットルもの水分が腸を通ります。

99%が腸で吸収されるため、便の中の水分はわずか1%の100g程度です。

このサイクルが崩れると下痢になります。

下痢の症状

先に述べたように、下痢の症状は便が水のようになることです。

ただ、下痢のときはお腹が痛くなったり、熱がでたりといった症状が一緒におこることが多いです。

症状によって、命の危険を伴う病気が原因のこともあります。

以下の症状がでるかたは要注意です!

・3週間以上前から下痢が続いている

・排便が増えてきた

・お腹が痛くなる

・吐く

・血が混ざる

・体重が減ってきた

・熱が出る

・からだがだるい

・のどがかわく

これらは下痢でたくさんの水分がでてしまい脱水状態になっています。

この状態が続くと、頭痛や嘔吐がおこります。

重症になると意識がもうろうとしたり、痙攣したりします。

こうなると亡くなってしまうかたもいます。

特に、幼少時や高齢者の下痢では脱水症状に注意が必要です.

また、下痢だけでなくお腹の痛みや血便が出るかたは、

・重症の感染性腸炎

・潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)

・大腸がん

など、毎日苦しんだり、命にかかわったりする大腸の病気が原因の可能性もあります。

そのため、先にあげた症状があるかたは早めに医療機関に行ってください。

下痢の原因やタイプ分類

下痢の原因は多いです。

様子を見ていいものから、治療や入院が必要なものまであります。

クリニックに来られるかたも、自宅で様子を見ていていいのか不安な方が多くいらっしゃいます。

下痢は

・急に起こる急性下痢

・3週間以上続く慢性下痢

の2つにに分けれます。

急性下痢の原因のほとんどは

・暴飲暴食

・刺激物やアルコールの摂りすぎ

など、生活習慣の乱れによります。

それ以外に多いのはウイルスや細菌の感染によるものです。

慢性下痢の原因は、

・大腸がんや潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)など腸の病気

・腸自体に異常はないのに下痢をしてしまう過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)

などの病気が原因のこともあります。

もっと掘り下げると、私たち大腸肛門科医が考える下痢の原因は以下のものがあります。

・アルコール多飲や食事内容などの生活習慣

・大腸に異常がないのに起こる過敏性腸症候群

・薬剤による下痢

・腸に炎症が起こる腸炎

・食中毒などの感染性腸炎

・大腸以外の病気によるもの

・命にかかわる大腸がん

大きく7つのものがあります(それぞれの詳しい説明は後に詳しく述べています)。

生活習慣による下痢であれば、生活習慣を改めれば治ります。

食中毒などの感染性腸炎は、時間がたつと治ります。

ただ、抗生剤がいることもあります。

潰瘍性大腸炎など腸に炎症を起こすものは、専用の薬での治療になります。

過敏性腸症候群は市販の整腸剤などで落ち着く方もいらっしゃいます。

しかし、病院でしかもらえない専用の薬がいる方もいます。

大腸がんは、早期発見・早期治療をおこなわないと命にかかわります。

このように、下痢といってもたくさんの原因があります。

そのため、下痢で悩まれている方は大腸肛門科の受診をおすすめします。

以下に下痢の原因をより細かく説明しています.

原因 その内容
1.悪性腫瘍 大腸がん
2.生活習慣 下剤やアルコールなど
3.腸の運動障害 過敏性腸症候群など
4.薬剤 下剤
抗生物質による腸炎
ロキソニンなど痛み止めによる腸炎
抗がん剤
5.感染性腸炎 ノロウイルス
サルモネラ
カンピロバクター
大腸菌
など
6.炎症性腸疾患 潰瘍性大腸炎
クローン病
7.そのほかの腸炎 虚血性腸炎
8.大腸外の病気によるもの 甲状腺機能亢進症
慢性膵炎
など

1.大腸がんによる下痢

【大腸癌により腸が狭くなっている内視鏡写真】
(オリンパスHP Endo Atlasより引用)

これまで,大腸肛門外科医として,多くの大腸癌の患者さんの診療に関わってきました。

1番危険なのは大腸がんです。

注意喚起をしたいので、1番はじめに説明します。

大腸がんのよくある経過は、

・数年前からおしりからの出血があった

・痔と思って放置していて数ヶ月前から便が出にくくなる

・最近は下痢になってきたため病院に行く

・大腸内視鏡検査で大腸に進行癌が見つかる

といったケースです。

大腸がんが進むと癌が大きくなります。

その結果、腸が狭くなり下痢でないと便が通らないことで起こります。

そのため、下痢になったときはすでにがんはかなり進んでいることになります。

このような状態は、リンパ節など他の臓器に病気が広がっている可能性が高いです。

かなり危険で命にかかわります。

治療費も高くなったり、家族の協力が必要になったりします。

仕事も休まなくてはいけません。

体もかなりの苦痛をともないます。

生活の質がかなり悪くなります。

ただ、早く見つければ治る可能性はぐんと高くなります。

大腸がんは早期発見・早期治療により完治できる癌の1つです.

下痢になったらすぐに

・便潜血検査(べんせんけつけんさ)

・大腸内視鏡検査

を受けることにより早期発見をすることが非常に重要です。

40歳を越えると大腸がんは増えてきます。

40歳以上でまだ一度も便潜血検査をしたことがない人はたくさんいます。

また、まだ一度も大腸内視鏡検査をしたことがない人は当クリニックにご相談ください。

2.生活習慣による下痢

生活習慣による下痢は、下剤とアルコールの可能性が高いです。

①下剤

「1日1回、便がでないとスッキリしない」

「1日1回、便をしないといけない」

と思ってるかたは多いです。

その結果、毎日下剤を使いいつも下痢をしていませんか?

その下剤に「センナ」と「ビサコジル」という成分は入っていないでしょうか?

下剤は大きく分けて2つあります。

「浸透圧性下剤(しんとうあつせい)」と「刺激性下剤」です。

「浸透圧性下剤」は、腸の浸透圧を高め腸の水をだす力を強くします。

その結果、便の回数を増やします。

効果が出るまで数日かかることもあります。

ただ、後で述べる刺激性下剤の様な「腹痛」は起こりません。

また使っていてもくせになりにくいのが特徴です。

代表的な薬剤として酸化マグネシウムがあります。

最近はCMなどもあり、ドラッグストアでも手に入れることができます.

「刺激性下剤」は腸の動きを良くして、腸からの水分の吸収を抑えます。

薬を飲んでから8時間くらいで便がでます。

夜寝る前に飲むと朝に便がでるため効果が早くわかります。

そのため、多くの方が好んで使っています。

また、ドラッグストアなどでも簡単に手に入れることができます。

代表的な薬剤として、

・センノシド

・ビサコジル

・ピコスルファートナトリウム

があります。

ただ、腸の動きを活発にするためお腹が痛くなります。

刺激性下剤を飲んだ人の排便の特徴は、

「夜寝る前に飲むと、朝お腹が痛くなりいつも下痢状態」

です。

もちろん、その方にあったちょうど良い量を飲むことによりこれらの症状を少なくすることはできます。

また、刺激性下剤は長く使うことにより薬が効かなくなることがあります。

薬の量が増えていく可能性があり注意が必要とされています。

日頃から刺激性下剤を使っていて、腹痛と下痢に悩んでいる方は浸透圧性下剤や他の薬剤へ変えるかたもいます。

ぜひ一度大腸肛門科を受診し下剤について相談をしてみてください。

②アルコール

若い男性で、日頃から下痢で困っているとクリニックを受診される方もいらっしゃいます。

飲酒量をおうかがいすると

患者さん:「1日ビール350mlを3本くらい飲んでいます」

金澤:「他には飲んでいませんか?」

患者さん:「サワーを2本くらいのんでいます?」

金澤:「他には?」

患者さん;「焼酎をロックで2〜3杯...」

と一晩でかなりの量のアルコールをとっているケースが多く見られます。

アルコールをたくさんとると、腸からの水分やミネラルの吸収が悪くなります。

さらに、糖分や脂肪分の分解や吸収もしにくくなります。

その結果、下痢を起こしやすくなります。

「アルコール大量摂取=下痢」は当然の結果です!

仕事が忙しかったり、体調不良だったりでお酒を飲めなくなった方が

「お酒をやめたら下痢が治りました!」

と笑顔で報告してくれることもあります。

お酒を飲むことでストレスの発散になっている方もいると思います。

ただ、下痢しており「自分は少しアルコール量が多いかな?」と感じる方は、

まず、お酒の量を少し減らしてみてはいかがでしょうか?

下痢によるトイレ通いから解放され明るい生活になる可能性が高いです。

3.過敏性腸症候群による下痢

下痢などお腹の調子が悪くて病院に行き、

大腸内視鏡検査をしても異常がないという方は過敏性腸症候群の可能性があります。

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)は、大腸自体に悪いところがありません。

ただ、腹痛や便秘などの便通異常が続く病気です。

日本では、10〜15%程度の人がこの病気であるといわれています。

若い人で女性に多く、年齢とともに減ってくることが分かっています。

命に関わる病気ではありません。

ただ、お腹の痛み・便秘・下痢・不安などの症状のため日常生活に支障がでます。

生活の質がかなり悪くなります。

そのため、正しい治療が必要となります。

過敏性腸症候群については、後ほど詳しく説明いたします。

4.薬剤による下痢

①下剤

前述の,「1.生活習慣 ①下剤」の項目を参照してください.

②抗生物質による腸炎

抗生物質を飲んで下痢をした経験がある方は多いです。

抗生物質を飲むことにより腸内細菌のバランスが崩れます。

いつもは少ない細菌が増え、悪さをするために炎症がおこります。

もともと健康な人は、抗生物質をやめると下痢も自然におさまることが多いです。

ただ、高齢者や重い病気を抱えている人は重症化することもあります。

注意が必要です。

治療は、原因薬剤をやめたり、増えた菌に対して抗生物質を投与したりします。

③非ステロイド性消炎鎮痛薬による腸炎

非ステロイド性消炎鎮痛薬は、ロキソニンなどの痛み止め薬のことです。

皆さんも頭が痛いときなどに買って飲むことは多いと思います。

日常生活でよく使う薬です。

ただ、飲み続けると下痢や腹痛、腸からの出血やただれる潰瘍(かいよう)などを起こすこともあります。

治療は、飲むことをやめることです。

ただ、やめられない場合は薬をかえたり、予防効果のある薬を一緒に飲んだりなどの工夫を行います.

④抗がん剤による下痢

癌の治療で抗がん剤を飲む方は多いです。

その中で、副作用の下痢に悩んでいらっしゃる方はたくさんいます。

下痢は、抗がん剤治療の中で代表的な副作用の1つです.

下痢の程度によっては抗がん剤治療をやめなくてはいけません。

抗がん剤治療を続けるのに影響がでます。

下痢の症状があらわれたときは、治療医と相談を早めにしてください。

5.感染性腸炎による下痢

感染性腸炎は、細菌・ウイルス寄生虫などの微生物の感染によっておこります。

・衛生状態が悪いところでの飲食

・海産物や生肉をたべた

このようなときに下痢をした経験のある方は多いです。

主な症状は下痢・腹痛・嘔吐・発熱です。

ただ、原因微生物によっては出血を伴います。

腸の感染症のなかでもっとも多いのは食中毒です。

感染症法に基づく2017年の届け出では主な原因はウイルス性が52%。

そのうちノロウイルスが51.6%と最も多いです。

次いで細菌性が40.2%(カンピロバクター14.1%,ウエルシュ菌7.4%,大腸菌7.4%,サルモネラ菌7.2%)となっています。

代表的なものをあげてみます.

①ノロウイルス

【ノロウイルスの電子顕微鏡写真】
(東京都健康安全研究センターHPより引用)

・汚染している食品(生カキ・パンなど)や水

・感染者の手指や触れた器具

・排泄物

・吐物

などから感染します.

感染力は強く、100個以下の少量でも人へうつります。

冬に多く起こります.

ウイルスに感染して症状が出るまで24〜48時間です。

下痢・嘔吐が主な症状です。

数日間でよくなりますが、幼児や高齢者などでは脱水症状になりやすく危険です。

診断はノロウイルスの検査キットを使います。

脱水症状が強ければ点滴などを行います。

②カンピロバクター

【カンピロバクターの電子顕微鏡写真】
(ヤクルト中央研究所HPより引用)

ペット、家畜など多くの動物がこの菌を持っています。

鶏肉やその加工品による感染が多いです。

消毒してない井戸水も原因となります。

500個程度の少量でも食中毒を起こします。

1年を通しておきます。

春の終わりから初夏にかけて多いです。

カンピロバクターに感染してから症状が出るまでは、2〜5日と長めです。

症状は水のような下痢・腹痛・発熱から始まり、血便を伴うこともあります。

診断は便の細菌培養で行います。

治療は、脱水症状に対して点滴を行います。

症状により抗菌薬の投与を行います。

③サルモネラ菌

【サルモネラの電子顕微鏡写真】
(ヤクルト中央研究所HPより引用)

鶏などの家畜や野生動物の腸内にいる菌です。

・卵

・汚染された肉類

・ペットのカメやヘビ

からも感染します.

学校・病院・福祉施設などで集団感染も多く起こります。

サルモネラ菌に感染してから症状が出るまでは、5〜72時間(平均12時間)です。

症状は、

・38℃以上の急激な発熱

・水のような下痢

・腹痛

・悪心

・嘔吐

が中心です.

幼児や高齢者は、命にかかわる脱水や菌が全身に広がる敗血症を起こしやすいです。

治療は、脱水症状に対して点滴をして症状により抗菌薬の投与を行います.

④大腸菌(特に腸管出血性大腸菌)

【大腸菌の電子顕微鏡写真】
(ヤクルト中央研究所HPより引用)

腸管出血性大腸菌は家畜(特にウシ)の腸にいます。

加熱をしてない牛肉などから感染しやすいです。

代表的な菌はO-157と呼ばれています。

他にもO-26やO-111などがいます。

ベロ毒素という毒素により腸に炎症を起こします。

菌の個数が100個程度の少量でもうつります。

菌に感染してから症状が出るまで、3〜5日とやや長めです。

症状は、

・激しい腹痛

・水のような下痢

・1〜2日で血便

・軽度な発熱

これらが起こります。

発病者の10人に1人は、下痢などになってから5〜14日後、重症になります。

溶血性尿毒症症候群や脳症などの命を落とすこともある合併症を引きおこします。

乳児や小さい子供、高齢者で重症になるかたが多いです。

検査は便の検査や、血液中の抗体を検査する方法もあります。

治療は、脱水症状に対して点滴を行い症状により抗菌薬を使います。

溶血性尿毒症症候群を起こしたら、血液透析を行います。

以上、感染性腸炎の原因となる細菌・ウイルスの代表的なものです。

感染性腸炎の予防の基本は、食べ物の取り扱いと正しい手指衛生です。

食品はしっかり熱を加え、調理後の食品は食べ切るなどしてください。

また、感染を予防するため排泄物の処理のとき直接手で触れないなどの注意も必要です。

特に、乳幼児や高齢者などは重症になりやすく命にかかわりやすいです。

乳幼児や高齢者のいらっしゃるご家庭の方は日頃からの予防につとめてください。

6.炎症性腸疾患

炎症性腸疾患は、腸に炎症を起こす病気です。

厚生労働省により難病に指定されています。

炎症性腸疾患には、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)とクローン病があります。

①潰瘍性大腸炎

【潰瘍性大腸炎の内視鏡写真】

大腸に炎症をおこし、

・下痢

・血便

・下血

・粘血便

・腹痛

・体重減少

などの症状を起こします.

原因や病気をしっかりと治すことのできる治療法は見つかっていません。

そのため、先ほど述べたように厚生労働省により難病に指定されています。

潰瘍性大腸炎の患者さんは全国で約16万人です(2016年)。

20〜30歳の方に多いです。

ただ、小児や50歳以上の方もいます。

経過としては、

・腸の炎症がおこり,症状が強くなる「活動期」

・症状がおさまっている「寛解期」

があります。

これら、症状が良くなったり悪くなったりする時期を繰り返します。

診断は、下痢や血がでる他の腸炎と分けます。

その後に大腸内視鏡検査により炎症の範囲や程度を調べます。

そして、大腸粘膜の一部をとる生検検査(せいけんけんさ)を行います。

それらの結果を総合的にみて診断を確定します。

現在、潰瘍性大腸炎をしっかりと治すことのできる治療法は見つかっていません。

薬により大腸の炎症を抑え、症状がおさまっている「寛解期」を続けていくのが治療の基本となります。

薬は飲み薬からはじめて、飲み薬が効かない場合には点滴治療を行います。

これら治療でも良くならなければ、大腸をすべて取る手術(大腸全摘術)が行われます。

②クローン病

【クローン病の内視鏡写真】
(オリンパスHP Endo Atlasより引用)

クローン病は、若い人に多く見られます。

口の中から、肛門にいたるまでの消化管(口・食道・胃・小腸・大腸・肛門)すべての部位に炎症が起こります。

ただ、小腸と大腸に1番多く起こります。

・腹痛

・下痢

・血便

・体重減少

などの症状をおこします。

完全に治せる治療法は見つかっていません。

そのため、潰瘍性大腸炎と同じく、厚生労働省により難病に指定されています。

クローン病の患者さんは全国で約4万人(2016年)です。

診断は、

・大腸内視鏡検査

・内視鏡検査の際に腸の粘膜の一部を採取する生検検査

・バリウムによる小腸の造影検査

・肛門に病変があるかどうか

これらの診察を行い、それらの結果を総合的にみて診断を確定します。

先に述べたように、クローン病をしっかりと治すことのできる治療法は見つかっていません。

そのため、薬による治療や腸に刺激を加えない栄養剤による栄養療法などが行われます。

腸の炎症が強く起こり、小腸や大腸が狭くなって食事ができなくなったり腸に穴が空いてしまったりした場合には外科手術が必要となります。

7.虚血性腸炎

【虚血性腸炎の内視鏡写真】

腸の血の流れが悪くなり、腸の粘膜が炎症を起こす病気です。

・夜にいきなり左腹痛

・そのあと下痢と血便が出る

というのが典型です。

症状が1週間程度でよくなる一過性型が約65%と最も多いです。

腸が狭くなる狭窄型(約35%)、腸が腐る壊死型(約10%)と続きます。

以前は、50歳以上の中高年に多い病気とされていました。

ただ、最近では20〜30歳の若い人でも見られます。

女性に多いのも特徴です.

心臓や血管の病気を持つ人、糖尿病の人、便秘の人も起こりやすいです。

再発することが5〜10%あります。

便秘にならないように生活することも重要です。

診断は、お腹の診察や血液検査です。

内視鏡検査やCT検査などを行います。

多くの場合は一過性型で、1週間程度で自然によくなります。

ただ、症状が強い場合は入院します。

食事を休んで抗生物質の点滴が必要です。

8.大腸以外の病気によるもの

大腸以外の病気でも下痢は起こります。

・甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)

・慢性膵炎(まんせいすいえん)

などがあります。

①甲状腺機能亢進症

バセドウ病などにより、甲状腺ホルモンが多く作られます。

甲状腺ホルモンは体の細胞を活発化させる働きがあります。

多くなった甲状腺ホルモンが、体中に働きます。

運動した後やお風呂から出た後のように体の代謝が活発化。

これにより腸の動きも活発となり下痢をきたします。

バゼドウ病の治療をすることで甲状腺ホルモンの量が抑えられると下痢も治ります。

②慢性膵炎

膵臓に炎症を繰り返す病気です。

炎症によって膵臓の細胞が壊され、膵臓の働きが悪くなります。

膵臓は血糖値を下げるインスリンを作っています。

また、他にも脂肪やたんぱく質を分解する消化酵素も作っています。

そのため、消化吸収がうまくできなくなります。

慢性膵炎の下痢は臭いがかなりきついです。

また、薄黄色クリーム状で水に浮く脂肪便となります。

この下痢に対する治療は、膵消化酵素剤の補充です。

以上、下痢の時に大腸肛門科医が考える病気についてまとめました。

一言で下痢と言っても原因はたくさんあります。

下痢で悩まれている方、特に出血などの症状を伴っている方は命にかかわる大腸がんの場合もあります。

怖がらず恥ずかしがらずに大腸肛門科を受診してみてください。

下痢の薬

・急に下痢をした

・最近下痢気味

・明日は大事な仕事や旅行がある

これらの理由から下痢止めを買いにドラッグストアに行った経験のある方は多いと思います。

ただ、急に起こった下痢のとき市販の下痢止めは使わない方がいいです。

かえってひどくなる可能性が高いからです。

急に起こる下痢の多くは体の防衛反応です。

ウイルスや細菌を体の外にだそうとしています。

下痢止めを使うことによりウイルスや細菌の排出が遅くなります。

そのため、感染がひどくなります。

ただ、下痢が続くと脱水になります。

下痢になったら水分補給が一番大切です。

水分補給をしてお腹にやさしい食事を取ってください。

それでも下痢が続くときは医療機関を受診してください。

特に、幼少時や高齢者では下痢だと脱水症状になりやすいです。

そのため、小さい子供や高齢者の方はなるべく早く医療機関に行ってください。

下痢が慢性のかたは、なぜ下痢になっているかをつきとめるのが大切です。

下痢の原因となっている病気をピンポイントで治療できるからです。

下痢が改善するのが一番いいのですが、整腸剤や下痢止めを使うこともあります。

また、過敏性腸症候群のように専用の薬剤が必要となることもあります。

下痢の時に医療機関で処方される薬は、

①整腸剤

②下痢止め

③抗生物質

の3種類があります。

①整腸剤

『整腸剤』はお腹の調子を整える薬です。

整腸剤には以下のような薬があります。

商品名 含まれる菌
ミヤBM 酪酸菌
ビオスリー ラクトミン・酪酸菌・糖化菌
ビオフェルミン ビフィズス菌
ラックビー ビフィズス菌

これらの薬は、腸内細菌叢(腸内フローラ)と呼ばれる腸内にいる菌のバランスを良くします。

それにより、お腹の調子が整い下痢がよくなります。

薬により、含まれている菌の種類が異なります。

腸内細菌の種類や数は、食事や生活習慣、人種・年齢などによって異なります。

そのため、『腸内フローラ』も人それぞれです。

「家族や知人が使っていてよかったらしく使ってみた。ただ、自分には合わなかった」

という方もいらっしゃいます。

『腸内フローラ』を整えるには短くて2週間はかかります。

まずは最低2週間、同じ薬を使うことをおすすめします。

②下痢止め

下痢止め薬は、慢性的な下痢に使います。

下痢止め薬は以下のようなものがあります。

薬剤の種類 特徴 商品名
腸運動抑制薬 腸の運動・分泌を抑制する ロペミン
殺菌薬 収斂作用や胆汁分泌促進作用で腸内の殺菌を行う フェロベリン,リーダイ,キョウベリン
収斂薬 腸粘膜面を覆い,炎症・腸運動を抑制する タンナルビン,タンニン酸アルブミン
吸着薬 細菌性毒素などを吸着し腸を保護する アドソルビン

整腸剤と組み合わせることも多いです。

腸の働きを抑える成分が多いため、副作用として腸がつまる腸閉塞(ちょうへいそく)に注意します。

急に起こる下痢の多くはウイルスや細菌による感染性腸炎がほとんどです。

そのため、先に述べたように下痢止めを使うとウイルスや細菌の排出が遅くなります。

感染がかえってひどくなる可能性があるため、感染性腸炎のときは基本的には投与しません。

③抗生物質

抗生物質を使うときは、菌の種類により使う抗生物質が変わります。

以下に、病院で処方される可能性のある抗生物質をあげてみます。

一般名 商品名
レボフロキサシン水和物 クラビット
シプロフロキサシン塩酸塩水和物 シプロキサン
ホスホマイシンカルシウム水和物  ホスミシン
アジスロマイシン水和物 ジスロマック
エリスロマイシン エリスロマイシン
エリスロマイシンステアリン酸塩 エリスロシン
クラリスロマイシン クラリス,クラリスロマイシン

抗生物質には、副作用やアレルギーもあります。

使用の際には注意が必要です。

以上、下痢の時に使う薬剤についてまとめてみました。

整腸剤はドラッグストアでも手に入りやすいです。

副作用も少ないため使いやすい薬剤です。

下痢止めも手に入りやすいです。

ただ、先に述べたように感染性腸炎の場合には使わない方がいいです。

そのため、使うときに注意が必要です。

市販薬を使っても下痢がよくならない場合は、医療機関の受診をおすすめします。

草加西口大腸肛門クリニックでの下痢の診療

私が院長をつとめる草加西口大腸肛門クリニックにも下痢の患者さんがたくさん受診されます。

「この下痢はこのまま様子をみていいのか?」

という不安を持ち、来院される方が多いです。

クリニックに来られる方の多くは、一般的な下痢なかたが多いです。

軽い感染性腸炎が多く、

・水分摂取

・食事指導

・整腸剤の処方

などで症状が良くなることがほとんどです。

ただ、急な下痢は要注意です。

下痢の程度が強く、血便や発熱などもあるときは重度の感染性腸炎の可能性があります。

また、慢性的な下痢であれば、さらに要注意です。

・命にかかわる大腸癌

・大腸をとることも考えられる潰瘍性大腸炎やクローン病

・原因がわからない過敏性腸症候群

の可能性もあります。

草加西口大腸肛門クリニックでの下痢の診断・治療の流れを説明いたします.

1.問診

状況をかなり詳しくお伺いします。

下痢の原因をつきとるため、とても重要だからです。

主な質問項目は以下のものがあります.

・いつから下痢になりましたか?

・下痢の状態はどうです(回数,色,量など)?

・腹痛,嘔吐,発熱,血便などはありますか?

・水分はとれていますか?

・食事はとれていますか?

・現在治療中や過去に治療していた病気はありますか?

・現在内服している薬剤はありますか?

・家族や職場などで同じ症状の人はいますか?

・最近外食をしましたか?

・生の食品をたべたりしましたか?

・海外渡航歴はありますか?

・1年以内に便潜血検査を受けたことがありますか?

・1年以内に大腸内視鏡検査を受けたことがありますか?

先にも述べましたがかなり詳しくおうかがいを立て、原因を正しく突き止めます。

2.診察

診察は、お腹の触診や聴診の他に脱水がどのくらいあるか評価します。

また、血や粘液が出てるときは、直腸や肛門に病気がないかを調べます。

指や肛門鏡という専門の器具を用いて直腸肛門の診察を行います。

下の写真が肛門鏡です。

写真では伝わりにくいですが細く先が丸いので痛みはないです。

潤滑のためにゼリーもぬります。

安心して診察をうけてください。

直腸肛門の診察を行うのは、直腸癌や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)を見逃さないためです。

診察は、患者さんが恥ずかしくないようにプライバシーに配慮しています。

診察の手順は以下のとおりです.

①カーテンの中でズボンや下着をおしりが見えるくらいまで下ろしていただき、診察台に横になっていただきます.

②おしりに,シートをかけさせていただきます。これで診察の準備が完了です。

恥ずかしくて検査をうけれないかたはいままで1人もいません。

③視診察(見て観察)をします。

④指診察(指で観察)をします。

⑤肛門鏡(直腸肛門の観察ができる特殊な器械)で診察をします。

⑥診察が終わりましたら,カーテンの中でゆっくりお着替えをしていただけます。

以上のながれで診察をさせていただきます。

女性の場合には、診察の間すぐそばに女性スタッフがいます。

安心して診察を受けていただけます.

3.検査

迅速血液検査

約60秒で血の成分を測ります。

これにより、炎症や貧血の程度がわかります。

【当院で導入しているフクダ電子社の自動血球計測装置LC-710】

腸炎が原因の下痢では、血の成分で予測できます。

また、下痢に出血を伴っている場合はヘモグロビンの値により

・貧血かどうか

・今後輸血が必要か

どがわかります。

便の細菌培養検査

急性下痢症の多くは数日間で自然に良くなります。

そのため、下痢の患者さん全員に便の培養検査は行いません。

細菌性腸炎が疑わしい場合で、症状が強いときに行います。

検査結果が出るまで1週間かかることもあります.

大腸内視鏡検査

大腸に下痢の原因となる病気があるか調べるために行います。

検査前に専用の下剤を2Lほど飲んで腸をきれいにしてから行います。

下の写真が下剤です。水に良く溶けるためかなり飲みやすいので安心してください。

このため、受診当日に検査はできません。

検査日を予約していただいた上で検査を行います.

緊急のときは、浣腸などで肛門から近いところをきれいにして検査を行います。

この場合は大腸全体を見ることはできません。

そのため、状況によって再検査をおすすめする場合があります。

4.現状での診断と検査のご案内や治療の説明

診察の結果、考えられる診断をお伝えいたします。

その上で、日常生活での注意点や治療法の提案をいたします。

急におこった下痢や症状が軽いとき

水分摂取と腸に負担にかからない食事の説明をし、整腸剤をださせていただきます。

細菌による腸炎が疑わしい場合には、抗生剤を飲んでいただくときもあります。

ただ、下痢の程度が強いときは脱水を防ぐために点滴を行います。

血便や発熱などがあるときは緊急の大腸内視鏡検査をすることもあります。

また、重症の腸炎の場合は入院をして補液や抗生剤の点滴が必要になることもあります。

入院できる総合病院をご紹介させていただきます。

慢性の下痢で、血や粘液がでていたりおなかに痛みがあったりする場合

この場合は、先に述べた

・命にかかわる大腸癌

・治療法が見つかってない潰瘍性大腸炎やクローン病

・大腸に異常が無いのに起こる過敏性腸症候群

などの病気の可能性もあります。

そのため、大腸内視鏡検査で

『腸に異常がないこと』

を確認することが重要となります。

患者さんのためにも、1年以内に大腸内視鏡検査を受けていない方には大腸内視鏡検査をおすすめします。

当クリニックの大腸内視鏡検査は痛みがほとんどありません。

患者さんが安心できるようたくさんの工夫をしているからです。

・腸をふくらまして痛みをおさえる炭酸ガスシステム

・オリンパス社製の最新の大腸カメラ

・感染をゼロにおさえる洗浄・消毒システム

・私をはじめ、5,000~20,000件の経験豊富なスタッフ

・患者さんもみれる大腸カメラのモニター

これらによって、

「寝てたら終わった」

と言われることがほとんどです。

大腸内視鏡検査を受けていただくと、その日に診断がつくこともあります。

生検(病気の診断のために組織の一部をとって顕微鏡で調べる検査)をしたときは、

結果が出た段階で最終的な診断をいたします。

最終的な診断で、それぞれの病気にあった治療法を提案いたします。

以上が下痢で当クリニックを受診された場合の診療の流れになります。

少しでも診療のながれのイメージしていただけたでしょうか?

一言で下痢といっても,原因はたくさんあります。

下痢は、ほうっておくと命にかかわる重大な病気のこともありますので。

・下痢が長くつづいてる

・下痢の症状が強い

・血便

このような、場合は早めに医療機関を受診してください。

急に下痢になったときの対処法

急に下痢をしたため、

・食事を控える

・水分をとって過ごす

これをしてたら、数日間で治るかたもいます。

急になる下痢の多くは、暴飲暴食や刺激物アルコールが原因が多いです。

そのため、食事を控えめにしお腹を安静にすることで自然によくなります。

食あたりや食中毒などの感染性腸炎も、症状が軽い時は水分補給だけで自然に良くなります。

感染性腸炎の原因がウイルスだと、抗生物質は効きません。

治療の基本は水をとることだけになります。

下痢のときは水分と電解質(特にナトリウムとカリウム)が失われます。

その補給をすることが大切です。

おすすめは、ドラッグストアで売っているるOS-1などの経口補水液(けいこうほすいえき)です。

【経口補水液OS-1】 (大塚製薬HPより引用)

スポーツドリンクと比べると電解質濃度が高く糖分が低いです。

スポーツドリンクを代わりに使うときは、少し水で薄めて塩をわずかに溶かして飲むのがいいです。

下痢のときに食べるものは、消化吸収の良いものだけにしてください。

腸を刺激しないことです。

おかゆやうどんなど消化の良い炭水化物をとってください。

・揚げ物や油の多い肉などの脂肪分

・香辛料

・コーヒー

・アルコール

などはやめてください。

また、冷たい水や清涼飲料水や炭酸飲料などの飲み過ぎもひかえてください。

注意点は、下痢がひどく脱水症状が強いときです。

命にかかわるため、入院のうえ点滴による水分補給が必要となることもあります。

早めに病院を受診してください。

特に体力のない幼少児や高齢者では要注意です.

感染性腸炎の原因が細菌のときは便の培養検査をします。

原因となる菌をみさだめ、抗生物質を用います。

ただ、多くの場合は水分補給などの治療のみで良くなり抗生物質が必要なことは限られます。

しかし、感染性腸炎の原因が細菌性なのかウイルス性なのかを判断するのは非常に難しいです。

そのため、数日たっても良くならない場合は医療機関にいき相談してください。

過敏性腸症候群について

草加西口大腸肛門クリニックにも過敏性腸症候群の方が多く通院されています。

多くの方は、日頃からお腹の痛みや不快感があります。

下痢や便秘、あるいは下痢と便秘を繰り返すといった症状があります。

ネットで検索すると過敏性腸症候群に当てはまることが多いです。

そのため、

『自分は過敏性腸症候群なのでは?』

と思い受診されます.

過敏性腸症候群は、大腸がんのように命に関わる病気ではありません。

ただ、放っておくと生活の質がかなり悪くなります。

また、自分は過敏性腸症候群だろうとおもっていて実は大腸がんや潰瘍性大腸炎などの病気だったというケースも多くあります。

お腹の痛みや不快感がある下痢や便秘のときはクリニックを受診してみてください.

以下に過敏性腸症候群について述べていきます.

過敏性腸症候群とは?

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)は、

・お腹が痛む便秘

・下痢、または便秘と下痢を交互に繰り返す

などの病気です。

大腸自体に異常がないのが特徴です。

日本では,10〜15%程度の人がこの病気であるといわれています。

若い人や女性に多く年齢とともに減ることが分かっています。

命に関わる病気ではありません。

ただ、

・お腹の痛み

・便秘

・下痢

・不安

などの症状のため、生活の質がかなり悪くなります。

そのため、正しい治療が必要となります.

過敏性腸症候群の患者さんの訴え

よくある患者さんの訴えとしては,

「休みの日は大丈夫です。ただ、仕事や学校に行こうとすると朝お腹が痛くなり、何回もトイレに行きます」

「急行電車や満員電車など、トイレに行けないときにお腹が痛くなります。途中駅で降りてトイレに駆け込みます」

「会議中やプレゼンの時など緊張するとお腹が痛くなりトイレに行きたくなります」

「家にいるときは問題ありません。ただ、学校での授業中やテスト中などによくお腹が痛くなりトイレに行くことが多いです」

などといった症状です.

会社や学校が休みの日や遊んでいるときなどはあまり症状がでません。

ただ、ストレスが強くかかる状況になると症状が表れやすくなります。

この「症状は常にあるとは限らず、精神的ストレスにより悪くなる」というのも過敏性腸症候群のポイントの一つです。

過敏性腸症候群の原因

はっきりとした原因はまだ分かっていません。

ただ、

・身体的・精神的ストレス

・内臓知覚過敏

・腸内細菌叢(腸内フローラ)

などが原因と考えられています。

過敏性腸症候群の検査と診断

過敏性腸症候群の診断を確定できる検査はまだありません。

過敏性腸症候群は除外診断します。

除外診断とは、他の病気でないことを診断し最終的にその病気であることを決めることです。

原因がわからない病気に行う診断方法です。

実際に過敏性腸症候群のかたは

・腹痛や下痢、便秘などが3ヶ月以上続く

・大腸の病気が疑われる

かたが多いです。

この場合は、大腸内視鏡検査をおこないます。

より具体的に言うと、以下の表のようになります。

大腸内視鏡検査をおすすめするかた
・お腹の診察で、できものに触れる
・直腸肛門診察で血やできものがある
・6ヶ月で3kg以上の原因不明の体重減少
・発熱や関節痛
・粘血便
・夜間におこる腹痛や下痢
・50歳以降での発症
・過去に大腸の病気をしている
・家族に大腸の病気をしたことがある人がいる
・血液検査で貧血や炎症反応などの異常がある
・患者さんが精密検査を希望する


このような場合です。

これら以外のケースでは

・血液検査

・便潜血検査

・腹部レントゲン検査

などを行います。

この3つの検査で異常があったときには、精密検査として大腸内視鏡検査を行います。

これら一通りの検査で異常がない場合は、過敏性症候群の診断基準に基づいて診断をします。

過敏性腸症候群の診断基準(RomeⅣ)
腹痛が3ヶ月の間、1週間につき少なくとも1日以上を占め下記の2項目以上の特徴を示す
1.排便に関連する
2.排便頻度の変化に関連する
3.便形状(外観)の変化に関連する
※少なくとも診断の6ヶ月以上前に症状がでて3ヶ月間は基準を満たす。

過敏性腸症候群の治療

過敏性超症候群はいろいろな要因が複雑に絡み合って起こります。

薬剤だけの治療では必ずしも良くなりません。

生活環境や社会環境なども影響します。

そのため、まずは病気を知りあらゆる角度から治療を試みることが大切です。

適切な治療をすることでつらい症状がやわらぎます。

日常生活を少しでも楽に送ることができるようになります。

症状を完全に無くすことを目標にするとストレスが多くかかります。

多少症状が残ったとしても日常生活を楽に送れることを目指すことが必要です。

治療の最初は,生活習慣や食生活を良くすることからはじめます。

生活習慣や食生活を変えても症状がよくならない場合もあります。

その場合は、下痢・便秘・腹痛などで患者さんが一番困っている症状を中心に薬による治療を行います。

これらの薬剤治療でも症状がかわらなければ、精神・心理的な要因と考えます。

心療内科などの受診を提案させていただきます。

以上,過敏性腸症候群について述べさせていただきました。

過敏性腸症候群は日本人の10人に1人はかかる頻度の高い病気です。

症状が強い場合には日常生活にも支障をきたします。

ただ、適切な治療をすることにより症状が軽くなります。

日常生活を少しでも快適にするため、お悩みの方は是非一度クリニックを受診してみてください。

下痢治療で感謝されたことなど患者さんの声

これまで下痢で悩むたくさんの患者さんを治療してきました。

いろいろな感謝の言葉をいただきました。

その一部をご紹介させていただきます.

下痢に対して市販薬しか飲んでいなかった患者さんから

「長年下痢で悩んでいました。ただ、金澤先生にみていただいてから症状が軽くなり生活が楽に送れてます。」

と喜んでいただけたこと.

アルコールをとる量が多く下痢をしていた患者さんから

アルコールが原因と診断。

断酒をすすめさせていただきました。

そのあと、

「アルコールを飲まなくなったら下痢をしなくなりました。毎日の生活が楽に送れるようになりました」

と喜んでいただけたこと。

下痢と出血で悩んでいた患者さんから

大腸内視鏡検査をおすすめし潰瘍性大腸炎の診断で治療をはじめました。

「治療を受けて症状が良くなり、仕事に復帰することができました」

とご報告をいただいたこと。

大腸がんが見つかった患者さんから

下痢の精密検査のため大腸内視鏡検査を行いました。

その結果、大腸がんがみつかりました。

そのあと患者さんから

「ただの下痢と思っていましたが大腸内視鏡検査をすすめてもらってよかったです」

とおっしゃっていただいたこと。

私は、1人でも多くの患者さんの生活がより良いものとなることを願い診療しています。

患者さんの笑顔や「ありがとう」の言葉を励みにこれからも日々頑張っていきたいと思っています。

最後のまとめ

ここまで,記事を読んでいただきありがとうございました。

『下痢は危険のサイン』ということがお分かりいただけましたでしょうか。

下痢でお悩みの場合には,なるべく早めに大腸肛門科を受診してみてください.

この記事が

・皆様の健康と病気の早期発見

・大腸肛門科を受診する際の不安の軽減

これらのためにお役に立てれば幸いです.

草加大腸肛門クリニック院長 金澤周(かなざわあまね)


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埼玉県草加市氷川町2144-11 アークプラザⅡ 3F

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