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腹痛は体の悲鳴!【専門医が警告!腹痛の原因と治療法】

公開日:2020年6月2日

更新日:2020年6月10日

急な腹痛はもちろん、日頃からの腹痛はとても辛いですよね。

クリニックにも腹痛で悩んでいる方が多く来院されます。

・急な腹痛

・いつもある腹痛

・吐き気・熱・血便をともなう腹痛

などの症状で来院されます.

「腹痛」と言っても原因により、部位や痛みの強さはたくさんあります。

急な腹痛だと、心配になり病院に行く方は多いです。

ただ、腹痛が日頃からあり少し我慢して良くなってしまうと

「少し我慢すればよくなるから様子をみよう」

と思っている方も多いのではないでしょうか.

急な腹痛はもちろんですが、日頃からある腹痛も放置するのは大変危険です!

・大腸がん

・胃がん

・難病である潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)

・胃潰瘍(いかいよう)

など、命にかかわる病気をはじめ、胃や腸以外の重大な病気も見逃すことになります!

この記事を書いた私の名前は、金澤周(かなざわ あまね)です。

埼玉県の草加(そうか)市にある草加西口大腸肛門科の院長です。

胃腸と肛門の専門医でもあり指導医でもあります。

いままで腹痛で悩む患者さんを10,000人以上診察してきました。

その経験をもとにこの記事では

・腹痛の原因や治療法

・女性に起こる腹痛

・胃や腸以外で起こる腹痛

これらについて詳しく説明していきます.

この記事を読むだけで腹痛に対する悩みや対処法がわかります!

腹痛の部位でわかる病気の種類と治療法

みぞおちが痛いときに、

「胃がわるいのかな?」

下腹部が痛いときは、

「腸の調子がよくないのかな?」

と感じたことがあると思います。

「お腹の右下が痛み出して、病院に行ったら急性虫垂炎と診断された」

「膀胱炎でいつも下腹部が痛くなる」

「胃潰瘍を繰り返していてみぞおちのあたりが時々痛くなる」

「S状結腸の憩室炎と診断されいつも左下腹部が痛くなる」

このように、病気によってお腹の痛む場所がある程度決まっているものがあります。

一方、胃や腸に穴があいて起こる急性腹膜炎は、お腹全体に急激な痛みが出ます。

大腸がんはしばらく痛みは出ません。

ただ、癌が大きくなるとお腹から触れるようになったり押すと痛みを感じたりすることもあります。

このように、病気によって腹痛が起こるところは様々です。

ここのカテゴリでは、お腹を大きく9つの部位にに分けて場所ごとに起こる病気について述べていきます。

また、お腹全体が痛む場合に考えられる病気について述べていきます。

以下の表にある病名についてはあとに詳しい説明があります。

最後までお読みください。

番号 場所 病気
右上腹部 胆石症
胆のう炎(急性あり)
急性胆管炎
十二指腸潰瘍
心窩部 胃炎(急性胃粘膜病変)
胃・十二指腸潰瘍
胃がん
胃アニサキス症
機能性ディスペプシア
胆石症
胆のう炎
すい炎
すい臓がん
虫垂炎
心筋梗塞
左上腹部 胃炎
胃潰瘍
膵炎
右側腹部 腎・尿路結石
大腸憩室炎
へそ部 虫垂炎
腸閉塞
膵炎
左側腹部 虚血性大腸炎
大腸憩室炎
腎・尿路結石
右下腹部 急性虫垂炎
大腸憩室炎
クローン病
尿管結石
鼠径ヘルニア
婦人科疾患
下腹部 過敏性腸症候群
膀胱炎
鼠径ヘルニア
婦人科疾患
左下腹部 大腸憩室炎
虚血性腸炎
潰瘍性大腸炎
尿路結石
婦人科疾患
腹部全体 腸閉塞
消化管穿孔
腹膜炎
大動脈瘤破裂
上腸間膜動脈閉塞症
腸管出血性大腸菌感染症
特定の部位が痛まない病気 大腸がん
細菌やウイルスによる感染性腸炎
過敏性腸症候群
慢性便秘症

このように、一言『腹痛』と言ってもその場所によってたくさんの病気が考えられます。

急で激しい痛みがあり、早めの処置が必要なものもあります。

ただ、これらすべての病気に治療がいります。

女性は、骨盤内に子宮や卵巣があります。

それらが原因で起こる腹痛についても注意してください。

例えば、先日クリニックに30代の患者さんがいらっしゃいました。

「若い頃から下痢気味でお腹が痛むことが多かった」とのこと。

今回も下腹部から左腹部の腹痛がおこり、

「いつもの腹痛だから大丈夫」

と思って様子を見ていているうちにお尻から血がでてクリニックを受診されました。

後日、大腸カメラを行い難病である潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)だとわかりました。

どなたでも腹痛の経験はあると思います。

痛みがでてから期間が長かったり痛みが強かったりするかたは要注意です。

「いつもの腹痛と少し違うな」と感じたときには危険な状態なことも多いです。

そのため、一度病院で相談をしてみてください。

胃や腸でおこる腹痛の原因(病名)とタイプ別の治療法

腹痛について、お腹の位置ごとに分けてざっくり説明しました。

次は、内臓の種類ごとに起こる腹痛について分けていきます

・胃や腸

・女性にしかない臓器

・胃や腸以外

これら3つに分けて説明します。

まず、胃や腸で起こる腹痛です。

胃や腸が原因で起こる腹痛もたくさんあります。

細かく見ていくと病気の数も非常に多くなります。

そのため、ここではクリニックに来院する原因として多い病気にしぼってみていきます。

胃や腸が原因となる腹痛

1.急性胃粘膜病変(急性胃炎)

【急性胃粘膜病変の内視鏡画像】
(引用:医学出版 画像で見抜く消化器疾患)

この病気は、急激な腹部症状(痛み・吐き気・嘔吐・血便)があります。

内視鏡検査では、血が出てただれてるのがわかります。

急性胃粘膜病変の腹痛はみぞおちの急激な痛みが特徴です.

・大出血

・吐血

・下血

を起こし、ショック状態となることもあります。

原因は薬物が最も多いです。

薬剤性の約60%は、痛み止め(ロキソニンなど非ステロイド性消炎鎮痛薬NSAIDs)によるものです。

薬剤についで多いのはアルコールやストレスです。

検査は、緊急の上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を行います。

治療は、まずは原因の除去(薬剤性であれば薬剤をやめるなど)です。

腹痛・吐き気・嘔吐がひどければ食事をやめ、点滴で水分をとります。

また、胃酸がでるのをを抑えて胃を守る薬を飲んでいただきます。

出血がひどいと、内視鏡をつかって血を止める手術が行われることもあります。

急性胃粘膜病変は過剰なストレスも原因となります。

ストレスが多くてみぞおちに急激な痛みが起こった時は急性胃粘膜病変の可能性が高いです。

医療機関を早めに受診してください。

2.慢性胃炎

慢性胃炎は、胃酸をだしている胃の細胞が壊れて働かなくなる病気です。

胃の表面がちぢんで胃酸が減る状態が続きます。

慢性胃炎の原因の約80%はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染によるものとされています。


【ヘリコバクター・ピロリの電子顕微鏡画像】
(引用:ヤクルト中央研究所HPより)

慢性胃炎の症状は、

・みぞおちの痛み

・腹部膨満感

・上腹部の不快感やもたれ

・吐き気

・嘔吐

・胸焼け

・食欲不振

などがあります。

しかし、特に症状がない方もいらっしゃいます。

検査では、内視鏡で胃粘膜が縮んでいるところをまず確認します。

確認出来たら、組織をとり顕微鏡でみて診断を決めます。

ピロリ菌感染が有るか無いか決めるには、

・生検(組織をとって顕微鏡で見る)

・血液検査

・便の培養検査

・専用の検査薬を服用して行う尿素呼気試験

などで行います。

治療は、腹痛やもたれ感などの症状を伴うかたには胃酸がでるのを抑える薬や胃の粘膜を守る薬などを飲んでもらいます。

また、ピロリ菌が陽性のかたにはピロリ菌の除菌を行います。

クリニックにも胃の不調が長く続くため来院されたかたがいます。

内視鏡の結果、慢性胃炎の状態でありピロリ菌感染がありました。

ピロリ菌の除菌をして、胃の不調が良くなり毎日が快適に過ごせるようになった方もいらっしゃいます。

胃の不調がつづいており、これまで内視鏡検査やピロリ菌の検査をしたことがない方は一度医療機関で相談をしてみてはいかがでしょうか。

3.機能性ディスペプシア

「胃がもたれる」

「胃が痛い」

「みぞおちのあたりの不快感がある」

などの症状で、内視鏡検査をしても特に異常がなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

機能性ディスペプシアは、

「症状の原因がみあたらないのに慢性的にみぞおちの痛みや胃もたれがある病気」

を指します。

機能性ディスペプシアは健康診断を受けた人の約15%、病院受診者の約50%に見つかります。

ありふれた病気と言えます。

原因はとても複雑です。

・胃の形や動き

・胃の神経

・心理的ストレス

・胃酸分泌

・ピロリ菌感染

・遺伝的要因

・感染性胃腸炎にかかったこと

など、いろいろな要素が複雑にからみあい発症すると考えられてます。

検査は、胃カメラで胃炎や胃潰瘍や胃癌などの病気がないことを確認します。

また、ピロリ菌感染の有無を調べたり、血液検査や腹部CT検査を行ったりもします。

機能性ディスペプシアの患者さんは、日頃から胃もたれやみぞおちの痛みがあります。

痛みにより生活の質が落ちてます。

治療によって症状が良くなれば快適な生活を送ることができます!

そのため、適切な治療を受けることが重要です。

治療は、胃の働きを良くしたり、胃酸の分泌を抑えたりする薬を飲んでいただきます。

ピロリ菌の感染がある場合にはピロリ菌の除菌を行います。

ストレスなどの心理的要因が強いときは、心療内科的なアプローチが必要な場合もあります。

そのため、

・抗不安薬

・抗うつ薬

・漢方薬

などを投与する場合もあります。

機能性ディスペプシアの患者さんの25〜50%に、胃食道逆流症や過敏性腸症候群、慢性便秘などもあります。

それらに対する治療が必要な場合もあります。

治療して症状がなくなった後も数ヶ月の間に約20%の人が再発すると言われてます。

再発を予防する方法ははっきりわかっていません。

ただ、症状がでるきっかけとなるストレスがはっきりとしている方もいます。

その方は、ストレスとなる原因をできるだけ少なくする予防策が取れる場合もあります。

述べてきたように機能性ディスペプシアはありふれた病気です。

治るケースもあります。

日頃からみぞおちの痛みや胃もたれで悩んでいて、

「私もあてはまるかも」

と思った方は、ぜひ一度医療機関で相談をしてみてください。

4.胃・十二指腸潰瘍

【胃潰瘍の内視鏡写真】
(オリンパスHP Endo Atlasより引用)

胃・十二指腸潰瘍は、胃の粘膜が傷ついた状態です。

胃を守る粘液や胃酸などのバランスが崩れることで起きます。

原因は、

・ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)

・痛み止めであるロキソニンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)

これら2つが2大原因です。

腰痛や頭痛などで、痛み止めである非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を内服しているうちに上腹部が痛くなってきたというパターンが典型例です。

症状は、みぞおちから左脇腹にかけての鈍い痛みが主な症状です。

胃潰瘍は、食べたあとの痛みが特徴的です。

十二指腸潰瘍は、お腹がすいてるときに痛みがあります。

また、痛みで夜に食事をするこで痛みが軽くなるのが特徴的です。

これらの潰瘍は貧血の原因になります。

コーヒーの残りのような吐血や、真っ黒などろっとした血便(タール便)をすることもあります。

また、胃や十二指腸の壁に穴が開いたり胃から十二指腸への通り道が狭くなったりします。

検査は、内視鏡やバリウム検査です。

採血で貧血の有無についても調べます。

治療は原因を取り除くことです。潰瘍自体の治療を行います。

非ステロイド性消炎鎮痛薬を飲んでいる方は、飲むのをやめていただきます。

また、ピロリ菌感染があればピロリ菌の除菌を行います。

潰瘍自体の治療は、胃酸が出るのを抑える薬を飲んでいただきます。

・胃や十二指腸に穴があく穿孔(せんこう)

・大量出血

・胃から十二指腸への通り道が狭くなる狭窄(きょうさく)

などがあれば、内視鏡で治療をしたり手術を行ったりするときもあります。

ピロリ菌がいて、まだ除菌をしていな方は胃・十二指腸潰瘍を防ぐためピロリ菌の除菌をおすすめします。

また、日頃からロキソニンなど非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を飲んでいるかたで上腹部に痛みがでた時は早めに病院にいってください。

5.胃アニサキス症

【胃の壁にくいついているアニサキスの内視鏡写真】
(オリンパスHP Endo Atlasより引用)

【胃の壁に食いついているたアニサキスを摘出した内視鏡写真】
(オリンパスHP Endo Atlasより引用)

「昨日の夜、サバやイカのお刺身を食べてからみぞおちが痛いです...」

このような患者さんのほとんどが「胃アニサキス症」です。

胃アニサキス症は、

・サバ

・アジ

・イワシ

・イカ

などのお刺身やしめさばを食べて発症することがほとんどです。

食後4〜8時間で発症することが多いです。

激しい上腹部痛と吐き気や嘔吐があります。

アニサキス症のほとんどが胃アニサキス症(98%)です。

ただ、アニサキスが胃を通りこして腸にまで行くことがあります。

これは「腸アニサキス症」といい、場合によっては

・腸がつまる腸閉塞(ちょうへいそく)

・腸に穴があく腸穿孔(ちょうせんこう)

の原因となります。

さらに、「消化管外アニサキス症」があります。

これは、アニサキスが胃や腸を破り他の部位に行き炎症を起こすことです。

魚介類を生で食べたあと、じんましんを主症状とする「アニサキスアレルギー」が起こることもあります。

・血圧低下

・呼吸不全

・意識消失などのアナフィラキシー症状

の報告もあります.

アニサキス症の検査は胃カメラでアニサキスを見つけてとりだします。

予防としては、

・魚介類を生でたべない

・60℃で1分以上加熱

・マイナス20℃で24時間以上の冷凍処理

これらが効果的です。

サバ・アジ・イワシ・イカなどのお刺身やしめさばを食べる人は多いですよね。

これらを食べたあと数時間して、激しい上腹部痛と吐き気などが起これば胃アニサキス症の可能性が高いです。

早めに胃カメラのできる病院に相談をしてください。

6.胃がん

胃癌は近年減っています。

ただ、まだまだ多い癌の一つです。

2018年の統計では死亡数で男性の2位、女性の4位、男女合計では3位となっています。

【部位別がん年齢調整死亡率の推移】
(国立癌研究センター がん情報サービスHPより引用)

早期の胃がんには症状がありません。

健診などで発見されることがほとんどです。

胃がんが進むにつれて、

・胃の不快感

・上腹部の痛み

・食後の膨満感

・食欲不振

・嘔吐

・血液の混ざった黒い便(タール便)

などを起こすことがあります。

また、腫瘍が大きくなると上腹部にしこりができることもあります。

さらにがんが進むと、

・食事のつかえ感

・体重減少

・黄疸やお腹が張ってくる(腹水貯留)

などの症状が現れます。

このような状態になると、リンパ節やその他の臓器にがんが広がっている可能性が高いです。

胃がんは放置すると命に関わります。

予防・早期発見・早期治療が重要となります。

予防としては

・喫煙

・アルコール

・塩分

これらのとりすぎに注意することです。

ピロリ菌も胃がんの原因になります。

そのため、ピロリ菌のある方は除菌をすすめます。

早期発見としては定期的ながん検診があります。

各自治体のがん検診は、胃のバリウム検査あるいは胃内視鏡検査で行われます。

当クリニックがある埼玉県草加(そうか)市のバリウム検診(集団検診)は、30歳以上の方が対象です。

毎年900円で受けることができます。

また、胃内視鏡検診は50歳以上の方が対象です。

2年に1回、3500円で受けれます。

各自治体により、検診内容・対象年齢・金額などは異なります。

詳細は各自治体のHPを見てください。

会社定期検診や人間ドックで、胃のバリウム検査や胃内視鏡健診を受けるのも1つです。

胃癌は、早期発見できると内視鏡での根治が可能な場合もあります。

気になる症状がある時は、検診を待たず早めに医療機関に行き相談してください。

大腸が原因となる腹痛

1.急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん)

急性虫垂炎は、盲腸からつながる虫垂(ちゅうすい)という臓器の中がつまります。

それにより、細菌感染を起こすことで起きる炎症性疾患です。

正しい原因はまだわかっていません。

発生頻度は、1〜1.5人/1000人です。

全ての年齢層で起こる可能性があります。

ただ、よく起きるのは10〜20歳代です。

炎症の程度により、

・カタル性虫垂炎

・蜂窩織炎性虫垂炎

・壊疽性虫垂炎

これら3段階に分けれます。

壊疽性虫垂炎が最も重症です。

虫垂の壁が破れる穿孔(せんこう)を起こす可能性もあります。

急性虫垂炎が起きると、はじめは食欲がなくなり吐き気や嘔吐がみられます。

腹痛は、みぞおちのあたりやおへそのあたりのにぶい痛みからはじまります。

時間がたつと右下腹部の痛みとなります。

発熱は37℃台のことが多いです。

ただ、穿孔(せんこう)を起こすと腹膜炎(炎症がお腹の中に広がっている状態)となり38℃以上の発熱となります。

うずくまり歩けないほどの痛みは、腹膜炎を起こしてる可能性があります。

検査は、

・血液検査

・腹部レントゲン写真

・腹部超音波検査

・腹部CT検査

などを行い、炎症の程度やお腹の中に膿のたまりを作っているかを調べます。

そして、治療方針を決めます。

炎症が軽く、腹膜炎(ふくまくえん)を起こしてないときは食事をやめ抗生物質での治療を行います。

炎症が強く、腹膜炎を起こしているといは緊急手術を行います。

みなさんの周りにも虫垂炎で治療をした方がいるかもしれません。

よくある病気ではありますが、穿孔を起こして腹膜炎となると手術がいりとても大変です。

みぞおちやおへそのあたりの痛みがだんだん右下腹部に移ってきたら虫垂炎の可能性があります。

早めに医療機関の受診をおすすめします。

2.大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)

【大腸憩室症の内視鏡画像】

大腸憩室(だいちょうけいしつ)は、大腸内の圧力が上がることにより大腸の弱い部分が外側に凹んでしまう状態です。

大腸憩室自体は、皮膚でいうとシミやシワと一緒です。

年齢での変化のため,放置したからといって癌になるわけではありません。

大腸内視鏡をした時に、偶然発見されることも多くあります。

体の変化の1つのため、大腸憩室自体は治療の対象になりません。

ただ、この憩室が原因で

・憩室炎という炎症

・憩室出血という出血

これらを起こしたときは治療がいります。

憩室出血は、痛みが無く突然お尻から血がでることで起こります。

憩室炎は、憩室ができているところで痛みがあります。

大腸憩室は、直腸以外の全大腸に起こる可能性があります。

右側の盲腸や上行結腸、下行結腸やS状結腸にも起こります。

盲腸や上行結腸の憩室炎は、右下腹部痛が起こります。

虫垂炎とみわけにくいです。

検査は、血液検査やCT検査です。

炎症反応が上がっていることを確認したり、部位や炎症の強さを調べたりします。

治療は、腹痛などの症状が軽いときは食事を少なくしてお腹を安静に保ちます。

数日で痛みは良くなっていきます。

腹痛や炎症が強いときは、抗生物質を使うこともあります。

まれに、憩室炎を起こしている憩室が破れます。

すると、腹膜炎やお腹の中に膿瘍(膿のたまり)が作られてしまいます。

その場合は、外科的な手術が必要になります。

憩室自体は無くなることはないです。

憩室炎を繰り返す方もいます。

・腹の右下や左下などの同じ場所がいつも痛くなる

・数日間食事を制限してお腹を安静にしていると腹痛が治る

これらの場合には、憩室炎を起こしている可能性があります。

一度クリニックにご相談ください。

3.感染性腸炎

・衛生状態のよくないところでの飲食

・海産物や生の肉を食べる

これらのあと、下痢をした経験のある方もいると思います。

感染性腸炎は、細菌・ウイルス・寄生虫などの微生物が感染することでおこります。

細菌とウイルスによるものが主流です。

主な症状は下痢・腹痛・嘔吐・発熱です。

ただ、原因微生物によっては出血を伴ったりすることもあります。

腸の感染症のなかでもっとも多いのは食中毒です。

感染症法に基づく2017年の届け出によると、主な原因はウイルス性が52%。

そのうちノロウイルスが51.6%と最も多いです。

次いで細菌性が40.2%(カンピロバクター14.1%,ウエルシュ菌7.4%,大腸菌7.4%,サルモネラ菌7.2%)となっています.

以下に,代表的なものをあげてみます.

①ノロウイルス


【ノロウイルスの電子顕微鏡画像】
(東京都健康安全研究センターHPより引用)

汚染されている

・食品(生カキ,パンなど)

・器具

・水

・感染者の手指,

・排泄物

・吐物

などから感染します。

感染力はとても強いです。

100個以下の少量でも人への感染が成立します。

冬に多く起こります。

ウイルスに感染してから症状が出るまで24〜48時間です。

下痢・嘔吐が主な症状で数日間でよくなります。

幼児や高齢者などでは脱水症状をきたすことがあるので注意がいります。

診断はノロウイルスの抗原キットで診断可能です。

治療は脱水症状が強ければ点滴を行います。

②カンピロバクター


【カンピロバクターの電子顕微鏡画像】
(ヤクルト中央研究所HPより引用)

ペットや家畜など多くの動物が持っている菌です。

鶏肉やその加工品からの感染が多いです。

消毒がされてない井戸水も感染原因となります。

500個程度と菌の数が少なくても食中毒を起こします。

1年を通して起こります。

ただ、多いのは春の終わりから初夏にかけてです。

カンピロバクターに感染して症状が出るまでは2〜5日と長めです。
症状は、

・水のような下痢

・腹痛

・発熱

から始まり、血便を伴うこともあります。

診断は便の細菌培養で行います。

治療は、脱水症状に対して点滴を行い症状により抗菌薬の投与を行います。

③サルモネラ菌

【サルモネラの電子顕微鏡画像】
(ヤクルト中央研究所HPより引用)

鶏などの家畜や野生動物の腸内にいる菌です。

鶏の卵や汚染された肉類、ペットのカメやヘビからも感染します。

・学校

・病院

・福祉施設

・集団給食施設

での発症も報告されています。

サルモネラ菌に感染してから症状が出るまでは5〜72時間(平均12時間)です。

症状は、

・38℃以上の急激な発熱

・水のような下痢

・腹痛

・悪心

・嘔吐

が中心です。

幼児や高齢者などでは、命にかかわる脱水や菌が全身に広がる敗血症があります。

注意してください。

治療は脱水症状に対して点滴を行い、症状により抗菌薬の投与を行います。

③腸管出血性大腸菌感染症

【大腸菌の電子顕微鏡画像】
(ヤクルト中央研究所HPより引用)

腸管出血性大腸菌は家畜(特にウシ)の腸にいます。

加熱ができてない牛肉などから感染します。

代表的な菌は、O-157と呼ばれていて他にもO-26やO-111などあります。

ベロ毒素という毒により腸に炎症を起こします。

菌の個数が100個程度と少なくても発症します。

菌に感染してから症状が出るまでは3〜5日とやや長めです。

症状は、激しい腹痛がある水のような下痢で始まり1〜2日で血便となります。

また、軽い発熱があります。

腸管出血性大腸菌感染症の腹痛はかなり激しいのが特徴です!

発病者の約10%は、下痢などの最初の症状が出てから5〜14日後に

・溶血性尿毒症症候群

・脳症

など命にかかわる合併症をきたすことがあります。

乳幼児や小児や高齢者では重症になる例がたくさんあります。

注意してください。

検査は便や血液中の抗体を検査する方法もあります。

治療は、脱水症状に対して点滴を行います。

また、症状により抗菌薬の投与を行います。

溶血性尿毒症症候群を合併すれば、血液透析を行うことがあります。

感染性腸炎の予防は食べ物の取り扱いと正しい手指衛生です。

食べものはよく加熱してください。

調理後の食品はなるべく食べ切りましょう。

また、ヒトからヒトへの感染を予防するため排泄物の処理の際には直接手で触れないようにしてください。

特に、乳幼児や高齢者は症状が重くなることもあります。

乳幼児や高齢者のいらっしゃるご家庭の方は日頃からの予防につとめてください。

4.虚血性腸炎

【虚血性腸炎の内視鏡写真】

腸の血の流れが悪くなり、腸の粘膜が炎症を起こす病気です。

・夜、急な左腹痛

・そのあと下痢をして血便

この流れが典型的です。

虚血性腸炎の腹痛は左腹部から左下腹部にかけて起こるのが特徴です!

50歳以上に多い病気でした。

最近では20〜30歳でも見られ女性に多いのも特徴です。

・心臓や血管の病気

・糖尿病

・便秘

これらの人で起こりやすいです。

再発が5〜10%あります。

便秘にならないよう生活することも重要です。

診断は

・お腹の診察

・血液検査

・内視鏡検査

・CT検査

などで行います。

多くのかたは約1週間で自然によくなります。

症状が強ければ、入院がいります。

食事を休んで抗生物質の点滴などの治療が必要です。

5.潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)

【潰瘍性大腸炎の内視鏡写真】

大腸に炎症をおこし、

・下痢

・血便

・下血

・粘血便

・腹痛

・体重減少

を起こします。

厚生労働省により難病に指定されています。

原因や病気をしっかりと治すことのできる治療法は見つかっていません。

潰瘍性大腸炎の患者さんは全国で約16万人です(2016年)。

20〜30歳の方に多いです。

ただ、小児や50歳以上の年齢層での発症もまれではありません。

経過としては、

・腸の炎症がおこり症状が強くなる「活動期」

・症状がおさまっている「寛解期」

があります。

症状が良くなったり悪くなったりを繰り返します。

潰瘍性大腸炎は病気の範囲により

・『直腸炎型』

・『左側大腸炎型』

・『全大腸炎型』に分けられます。

『全大腸炎型』では腹痛がお腹全体に及ぶこともあります。

『左側大腸炎型』や『直腸炎型』では、腹部〜左下腹部〜下腹部にかけての痛みが多いです。

診断は、下痢や出血がある他の腸炎とわけることです。

その後、大腸内視鏡検査により炎症の範囲や程度を調べます。

それから、大腸粘膜の一部をとる生検検査を行い、それらの結果を総合的に判断して診断を決めます。

いまは、潰瘍性大腸炎をしっかりと治すことのできる治療法は見つかってないです。

薬により大腸の炎症を抑えて症状がおさまっている「寛解期」を続けていきます。

薬は飲み薬からはじめます。

飲み薬が効かないときは点滴治療を行います。

それらの治療でも症状が良くならなければ大腸をすべて取る手術(大腸全摘術)が検討されます。

6.クローン病

【クローン病の内視鏡写真】
(オリンパスHP Endo Atlasより引用)

クローン病は若い方によく見られます。

口からはじまり、肛門にいたるまでの消化管(口,食道,胃,小腸,大腸,肛門)全てに炎症が起こります。

ただ、小腸と大腸に多いです。

・腹痛

・下痢

・血便

・体重減少

などを起こします。

クローン病は、炎症が小腸や大腸などの広い範囲で起こります。

そのため、様々なところに痛みがでます。

潰瘍性大腸炎と同じく、厚生労働省から難病に指定されています。

原因や病気をしっかりと治すことのできる治療法は見つかっていません。

クローン病の患者さんは全国で約4万人(2016年)です。

診断は、

・大腸内視鏡検査

・腸の粘膜の一部を採取する生検検査

・バリウムによる小腸の造影検査

・肛門に病変があるかどうかの診察

これらを行い、結果を総合的に判断して診断を決めます。

先に述べたように、クローン病をしっかりと治すことのできる治療法は見つかっていません。

そのため、薬による治療や腸に刺激を加えないようにする栄養剤による栄養療法などが行われます。

腸の炎症が強く起こり、小腸や大腸が狭くなって食事ができなくなったり腸に穴が空いてしまったりすれば外科手術を行います。

7.腸閉塞(ちょうへいそく)

英語でイレウス(ileus)とも言われます。

腸閉塞は何らかの原因によって腸がつまります。

つまることで、腸液や便が異常にたまった状態です。

原因は、

①腸自体のねじれや、腸の中が狭くなったり詰まったりしているもの(閉塞性腸閉塞)

②腸の運動麻痺によるもの(麻痺性腸閉塞)

があります.

①は、

・お腹の手術の後の癒着

・腫瘍、食べ物、異物、便などが詰まることで起きます。

②は、

・腹膜炎などお腹全体の炎症

・お腹の手術後に腸の動きが悪くなる

などで起こります。

症状としては、

・お腹のはり

・排便や排ガスがなくなる

・腹痛

・吐き気や嘔吐

が起こります。

検査は、レントゲンやCT検査を行います。

これにより、どの部分で腸の通りが悪くなっているのかを探します。

また、腸閉塞の場合は脱水になっていることも多いです。

そのため、血液検査を行い脱水がどのくらいあるか調べます。

治療は、

・まずは食事を中止して腸を安静にする

・脱水を防ぐための点滴をして腸の通りが良くなるのを待つ

・場合によっては鼻から胃や小腸まで管を入れ腸にたまった液体を吸い出す

こういった治療でもよくならないときは、手術を行い腸の流れが悪くなっている原因をつきとめます。

私がお腹の手術をした方がいます。

そのかたは、お腹の中で腸と腸がくっついてしまう癒着が起こっていました。

手術ではこの癒着をとりのぞき、腸の通りをよくします。

腸閉塞の中には、

・腸の血流が悪くなり、急激な嘔吐や腹痛

・腹痛の程度もお腹を少し触っただけでも激烈な痛み

このようなパターンもあります。

これは、絞扼性腸閉塞といいます。(こうやくせいちょうへいそく)

この場合は、早めに診断して手術を行わないと命に関わります。

腸閉塞は突然おこります.

過去にお腹の手術を受けた経験のある方は特に注意してください。

数年たって、癒着による腸閉塞が起こる可能性あります。

日頃の生活での注意点としては、便秘の予防が大切です。

また、一度に食べ過ぎることや早食いもやめてください。

排便や排ガスが急に止まり、吐き気や吐いてしまったら腸閉塞の可能性があります。

その場合は、医療機関にすぐに行きましょう。

8.過敏性腸症候群

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)は、はっきりとした原因がないのに

・腹痛

・便秘

・下痢

これらを交互に繰り返す病気です。

述べたように、はっきりとした原因はまだ分かっていません。

ただ、

・身体的、精神的ストレス

・内臓知覚過敏

・腸内細菌叢(腸内フローラ)

などが指摘されています。

日本では、10〜15%の人がこの病気だと言われてます。

若い人や女性に多く、年齢とともに減るが分かっています。

命にかかわる病気ではありません。

ただ、お腹の痛み・便秘・下痢・不安などの症状のため、生活の質が悪くなります。

そのため、適切な治療が必要となります。

いま、過敏性腸症候群の診断を確定できる検査はまだありません。

過敏性腸症候群は、除外診断をします。

除外診断は、診断のつけにくい病気について他の病気でないことを診断(除外)することで最終的にその病気であることを診断することです。

過敏性腸症候群の治療を始める際に重要なことは病気を知ることです。

過敏性超症候群はいろいろな要因が複雑にからみあい起こります。

そのため、薬だけの治療では必ずしもよくなるとは言えません。

生活環境や社会環境なども影響します。

あらゆる角度から治療を試みることが大切です。

適切な治療をすればつらい症状が和らぎ、生活が楽になります。

症状を完全になくそうとするとストレスが多くかかります。

そのため、多少症状が残ったとしても日常生活を楽に送れることを目指しましょう。

治療の最初は、生活習慣や食生活の改善を行います。

生活習慣や食生活を良くしても変わらなければ薬による治療を行います。

下痢・便秘・腹痛で患者さんが一番困っている症状を中心に薬による治療を行います。

これらでも良くならなければ、精神・心理的なことが原因の可能性もあります。

その場合は、心療内科などの受診を提案させていただきます。

9.慢性便秘症

便が何日かでなくお腹が痛くなった経験がある人は多いのではないでしょうか。

便のはじめは下痢のような水分が多い状態です。

大腸の中に入り,盲腸→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸と便が進んでいくにつれ水分が吸収され形のある便となっていきます。

便秘の時、左下腹部から下腹部が痛くなることがあります。

これは水分が吸収された硬い便がS状結腸から直腸にたまるため起こります。

腹痛をがある便秘であれば生活の質も低くなります。

病院で便秘の治療をすることにより快適な生活を送ることができかもしれません。

一度クリニックを受診して相談をしてみてください。

便秘の原因や治療については、HP内の『便秘の原因や治療法を専門医がわかりやすく解説』に詳しく書いてあります。

ご参照ください。

10.鼠径(そけい)ヘルニア

鼠径ヘルニアはお腹の中にあるはずの腸が、皮膚の下に飛び出てくる病気です。

鼠径部は足のつけねです。

そこにある膜や筋肉が弱くなり、その隙間から腸が飛び出てきます。

癌になるなど悪性化することはありません。

最初の頃は痛みもないです。

ふくらんでも指で押すと元に戻ります。

ただ、徐々にふくらみが大きくなってきます。

指で戻してもすぐに飛び出てきてしまうこともあります.

注意がいるのは、腸が戻らなくなり痛みや嘔吐などがでるときです。

これは、ヘルニア嵌頓(かんとん)といいます。

この場合は、飛び出した腸の血行が悪くなり腸が腐ったり穴があいてしまったりします。

脱出した腸が戻らなくなったら無理して押し込まないでください。

医療機関にすぐにいくようにしてください。

ヘルニアを治す方法は外科手術しかありません。

ただ、ヘルニア嵌頓(かんとん)をのぞけば命に関わることはないです。

手術のタイミングについては、主治医の先生とよく相談をして決めるのが重要です.

11.消化管穿孔(しょうかかんせんこう)・腹膜炎(ふくまくえん)

何らかの原因で胃や腸に穴があくことを消化管穿孔と言います。

お腹の中に消化液や便がもれ、お腹全体の炎症となることを腹膜炎(ふくまくえん)といいます。

腹膜炎はほうっておくと命に関わります。

緊急手術を行い、お腹の中に広がった汚物をきれいに洗い流す洗浄ドレナージが必要となります。

消化管穿孔はたくさんの病気で起こる可能性があります。

・胃や十二指腸潰

・胃アニサキス症

・急性虫垂炎

・大腸憩室

・潰瘍性大腸炎

・クローン病

・ひどい便秘

胃がんや大腸がんがすすむと穿孔をおこすときがあります。

胃や腸の病気があり治療中の方はかなり注意です!

病状が進むと、穿孔を起こす可能性があることを頭の片隅に置いてください!

日頃経験したことがない腹痛が起こったときは、速やかに医療機関に行きましょう。

12.大腸がん

【大腸癌により腸が狭くなっている内視鏡写真】
(オリンパスHP Endo Atlasより引用)

大腸がんで腹痛を起こすときには、癌がかなり進んでいる可能性があります。

癌がすすんで腸を狭くしているときは、便の通り道がかなり狭くなってます。

そのため、便が通る時に痛みがでます。

さらに、腸の通り道が狭くなると便が先に進まなくなります。

腸閉塞を起こすことでも痛みが起こります。

また、

・癌がすすんで腸の壁を破り腹膜というお腹の内側にある膜にいく

・お腹の中の他の臓器にがんがすすむ

これらで痛みが出る可能性があります。

癌自体が大きくなることは、病気がかなり進んでいる証拠です。

リンパ節や肝臓・肺など他の臓器に病気が広がっている可能性も高いです。

大腸がんは早めの発見と治療により完治できます。

腹痛で気づく前に、検診の便潜血検査や大腸内視鏡検査を受けてください。

早期発見をすることがとても大切です。

40歳を超えると大腸がんは増えてきます。

40歳以上でまだ一度も便潜血や大腸カメラ検査をしたことがない人は是非一度当クリニックにご相談ください。

女性だけにおこる腹痛について

子宮や卵巣といった女性だけの臓器があります。

女性だけに腹痛をきたす病気として以下のものがあります。

1.月経困難症(月経痛)
2.異所性妊娠(子宮外妊娠)
3.切迫流産・進行流産
4.子宮内膜症
5.子宮筋腫
6.卵巣出血
7.卵巣炎・卵管炎
8.卵巣嚢腫(腫瘍)茎捻転
9.子宮頸がん
10.子宮体がん
11.骨盤内感染症(クラミジア)

妊娠中の腹痛は緊急対応がいるパターンが多いです。

すぐに産婦人科に行ってください!

また、女性で

・腹痛になることが多い

・消化器内科などで検査をしても原因がわからない

このようなかたは、産婦人科で相談をしてみてください。

胃や腸以外が原因で起こる腹痛とタイプ別の治療法

胃や大腸以外のところが原因で腹痛が起こることがあります。

そのうち、幾つかの病気をご紹介いたします。

1.胃と腸以外の消化器の病気

①胆嚢結石症(たんのうけっせきしょう)

胆嚢にコレステロールを成分とした石ができる状態です。

胆嚢にできる結石は、1〜2ミリの小さなものから数センチのものまであります。

普段、痛みはありません。

ただ、突然痛みがでるときがあります。

これは、疝痛(せんつう)発作と呼ばれ右上腹部に痛みがでます。

胆嚢結石による痛みは、あぶらっこいものを食べた後4〜6時間で起こりやすいです。

脂がはいってくることで胆嚢がちぢみ、胆汁を十二指腸に出すときに起こります。

検査は

・超音波

・CT

・MRI

を使います。

胆嚢結石症で症状がなければ経過観察となります。

腹痛を繰り返せば手術がいります。

②胆嚢炎(たんのうえん)

胆嚢からの胆汁の流れが悪くなり、胆汁に細菌が感染することで起こる炎症です。

原因の多くは胆嚢結石です。

・寒気や震え

・高熱

・右上腹部痛

・横断

これらが特徴です。

重症になると胆嚢の周りに膿がたまります。

また、胆嚢に穴があいて腹膜炎になることもあります。

検査は、

・血液検査

・腹部超音波検査

・CT検査

を行います。

これらを総合的に考え、急性胆嚢炎と診断すればその重症度に応じた治療を行います。

点滴や抗生剤の投与といった初期治療を行い、胆嚢摘出術が行います。

状況によっては、胆嚢にたまった胆汁を抜くドレナージという処置を行うこともあります。

③急性膵炎(きゅうせいすいえん)

急性膵炎は、膵臓からでている消化酵素の働きが強くなりすぎることで起こります。

この消化液によって膵臓自体が自己消化されて起こる炎症です。

急性膵炎の2大原因はアルコールと胆石です。

もっとも多い症状としては、突然起きる強い上腹部痛です。

背中まで痛みが広がることもあります。

その他、

・吐き気や嘔吐

・発熱

・意識障害

・ショック状態

となり重症化することもあります。

検査は、血液検査やCTをとります。

これによりどれくらい重症なのかを測ります。

治療は、

・輸液

・鎮痛剤

・抗生物質

です。

重症であれば集中治療がいります。

対応可能な施設の集中治療室で治療を行います。

④慢性膵炎

慢性膵炎は膵臓が壊れて働かなくなる病気です。

膵臓からでる消化酵素が減って消化不良が起こったり、インスリンが減って糖尿病になったりします。

原因はアルコールによるものと、非アルコール性によるものがあります。

アルコールによるものが70%を占めます.

主な症状は、

・上腹部〜背部の痛みからはじまる

・病気がすすむと消化不良による下痢や脂肪便

・インスリンの低下による糖尿病

などがおこります。

検査は、

・血液検査

・超音波(エコー)

・CT

・MRI

など、画像検査を中心に行い診断します。

治療は、禁煙・禁酒・低脂肪食の指導を行います。

病状の進みにおうじて、薬物療法や糖尿病などに対してインスリン療法を行います。

⑤膵臓がん

膵臓におこるがんです。

早期発見が難しいことから、数あるがんのなかでも治療が難しく予後がもっとも悪い癌の一つです.

いま増えてる癌の一つです。

2018年の日本の最新がん統計では、膵臓癌による死亡数は男性4位、女性3位で男女合計では4位となっています。

初期症状として、

「なんとなく胃の具合が悪い」

といった腹部の症状を訴えることもあります。

ただ、膵臓がんはすすむまで無症状のことが多いです。

癌がすすむと

・腹痛

・黄疸

・腰や背中の痛み

・体重減少

とはっきりとした症状がでてきます。

検査は、

・血液検査

・超音波(エコー)

・CT・MRI

・内視鏡

・組織検査

などを行い診断します。

治療は、とることができるときは外科的切除を行います。

ただ、手術ができなければ抗がん剤治療を行います。

2.泌尿器科の病気

①尿路結石症

腎臓から尿道のあいだで尿の成分が石のようになり詰まります。

それにより、激しい痛みと血尿などがでます。

腎臓や尿管に結石ができる上部尿路結石が95%です。

膀胱や尿道の下部尿路結石が5%です。

男女比は男性:女性=2.5:1と男性に多い病気です。

痛みの場所は腰背部から側腹部にかけてです。

下腹部に広がる痛みのこともあります。

激痛になる場合が多いです。

夜間や早朝に起こることが多く通常3〜4時間つづきます。

腎盂腎炎という炎症にあると、38〜40℃の発熱がでます。

検査は、

・尿検査

・CT

・超音波(エコー)

・レントゲン写真

など、結石の部位や大きさを確認します。

治療は、

・症状を起こさない小さな結石は治療の必要なし

・痛みはあるが1cm未満の大きさは、十分に水分をとり鎮痛薬や結石を出しやすくする薬で自然に石が排出されるのを待つ

これらになります。

ただ、結石が1cmよりも大きく自然にでないときは、

・体の外から衝撃波を与えて結石を砕くESWL(体外衝撃波結石破砕術)

・尿道から尿管内に内視鏡を入れて結石を砕くTUL(経尿道的尿管結石除去術)

・背中から腎臓に穴を開けて内視鏡を入れ結石を砕いて直接だすPNL(経皮的結石除去術)

これらを行います。

尿路結石は再び起きることが多いです。

食事や生活の改善がしっかりできないと80〜90%がまた起きます。

再発率を少しでも下げるために、尿路結石症で治療歴のある方は泌尿器科へ通院をして再発予防につとめてください。

②膀胱炎

お腹の下にあり、尿をためている膀胱が炎症を起こす病気です。

原因の多くは細菌感染によるものです。

肛門周囲にいる大腸菌が尿道から膀胱に入ることによって起こります。

女性は男性より、尿道の出口から膀胱までの距離が短いです。

そのため、細菌が膀胱にたどりつきやすく膀胱炎を起こしやすいです。

その他の原因としては、薬剤や放射線治療の副作用などがあります。

症状は、

・10分おきにたくさん起こる尿意

・排尿の終わりころの痛み

・尿意切迫(急に耐え難いほどの強い尿意を感じること)

・血尿

・残尿感

などがあります。

発熱はありません。

ただ、炎症が腎臓まで広がり腎盂腎炎(じんうじんえん)になると高熱が出ることがあります。

検査は尿検査や尿の細菌培養です。

治療は、大腸菌などの細菌に対して抗生剤の飲み薬を使います。

1週間以内に症状はよくなります。

膀胱炎の予防のためには日頃から水分を十分にとり尿をなるべく我慢しないでください。.

また、排尿・排便の後は前から後ろに拭くことにより大腸菌が尿道に入らないように気を配ることも大切です。

3.心臓・血管の病気

心臓や血管の病気でも腹痛が起こります。

これらの病気は発症すると命に関わります。

迅速な対応が必要となります。

①急性心筋梗塞

急性心筋梗塞の痛みは、

・前胸部や左胸部に締め付けられるような痛み

・30分以上の圧迫感

・肩・腕・背部などの痛み(放散痛)

があります。

ただ、中には上腹部痛や嘔気・嘔吐などの胃腸症状などを訴えることもあります。

注意が必要です。

②急性大動脈解離(きゅうせいだいどうみゃくかいり)

人の体の中心には、大動脈という長くて太い血管が走っています。

急性大動脈乖離は、この大動脈の壁が突然裂けることにより起こります。

痛みは、

・突然発症

・激しい胸痛と背部痛

です。

ただ、痛みが移動して腹痛や腰痛を訴えることもあります。

③腹部大動脈瘤破裂

腹にある大動脈に5cm以上のこぶができ、これが突然破裂します。

それにより、突然の激しい腹痛・腰痛がおこります。

動脈が破れるため、出血性ショックを起こし命の危険があります。

一般的に、動脈瘤が破裂するまでは自覚症状はありません。

検診などで偶然見つかることもあります。

未治療腹部大動脈瘤がある人の腹痛や腰痛は破裂の前兆であることが多いです。

ここまで、胃や腸の病気以外で起こる腹痛についてまとめてみました。

腹痛でクリニックを受診される方で、胃や腸以外の病気のときは速やかに専門病院をご紹介させていただきます。

特に、心臓・血管に関わる病気は緊急性が非常に高いです。

急激な激しい腹痛が生じれば、これらの病気の可能性も否定できません。

速やかに救急を行っている医療機関を受診してください。

腹痛で病院やクリニックを受診するタイミング

腹痛がおきると、

・行くタイミング

・かかる診療科

・クリニックと総合病院のどちらか

と皆さんいろいろと迷うと思います。

同じ腹痛と言っても、急に起こった腹痛もあれば以前からある慢性的な腹痛もあります。

1.腹痛で病院を受診するタイミング

①急に起こった腹痛

歩けないくらいの激痛は重大な病気の可能性があります。

ただちに、救急車を呼んでください!

歩けるぐらいの腹痛で、

・発熱

・下痢

・嘔吐

・血便下血

・吐血

・排ガス

これらがなくお腹が張っているなどの症状を伴うときは危険です

早めの医療機関の受診をおすすめします。

②慢性的な腹痛

慢性的な腹痛は、癌など命に関わる病気も含まれます。

なるべくはやめに医療機関に相談にいったほうがいいです。

ただ、慢性的な腹痛だと「いつもの痛みだから」と思うかたが多いです。

また、忙しいと受診のタイミングを逃しがちです。

そのため、

・腹痛が強い

・期間が長い

・出血や下痢など普段はない症状がでた

など、「いつもの腹痛となんとなく違うな」と思った時は医療期間に必ず行ってください。

あなたの体の不調はあなたにしかわかりません。

腹痛に限らず、体の調子がいつもと違うなと感じるときがあると思います。

それは、体が危険のサインを出している時です。

そのサインを感じたら、自分のためにそして大切な人のために医療期間を受診してみてください。

草加西口大腸肛門クリニックでの腹痛の診療

私が院長をつとめる草加西口大腸肛門クリニックにも腹痛の患者さんが多くいらっしゃいます。

急な腹痛で来院されたり、以前からある慢性的な腹痛で来院されたりするかたもいらっしゃいます。

これまで書いてきたように腹痛をきたす病気はとてもたくさんあります。

まずは詳細な問診と身体診察を行い、重症度や緊急性をみます。

重症度や緊急性が高くクリニックでの治療が難しい場合は速やかに総合病院をご紹介させていだきます。

それ以外のときに当クリニックで行える検査の・治療についてご案内させていただきます。

1.問診

状況を詳しくお伺いすることは、腹痛の原因や重症度・緊急性を判断するために非常に重要です。

・痛みがある場所

・痛みの箇所が移動したか

・吐き気や嘔吐があるか

・排便回数

・便の状態

・つかっている薬

などを主に聞きます。

ただ、これら以外にも患者さんに合わせてかなり詳しくおうかがいします。

2.診察

診察は、お腹の触診や聴診を行います。

お腹の触診で痛みが非常に強いときは、穿孔や腹膜炎を起こしている可能性があります。

また、粘液や血がでているときは直腸や肛門に病気がないかを調べます。

指や肛門鏡という専門の器具をつかって、直腸肛門の診察を行います。

当クリニックで直腸肛門の診察をするのは、直腸癌や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)を見逃さないためです。

草加西口大腸肛門クリニックでは、患者さんが恥ずかしくないようプライバシーに配慮した診察を心がけております。

診察の手順は以下のとおりです。

①カーテンの中で、ズボンや下着をおしりが見えるくらいまで下ろしていただき診察台に横になっていただきます。

②おしりにシートをかけさせていただきます。これで診察の準備が完了です。

③視診察(見て観察)をします。

④指診察(指で観察)をします。

⑤肛門鏡(直腸肛門の観察ができる特殊な器械)で診察をします。

⑥診察が終わりましたらカーテンの中でゆっくりお着替えをしていただけます。

以上のながれで診察をさせていただきます。

女性の場合には診察の間すぐそばに女性スタッフがいます。

安心して診察を受けていただけます。

3.検査

これらが終わったら、検査のご案内をさせていただきます。

・迅速血液検査

白血球やヘモグロビンの測定が約60秒ででき、炎症や貧血の程度を調べることができます。

【当院で導入しているフクダ電子社の自動血球計測装置LC-710】

・腸炎のレベル

・貧血になっているのかどうか

・今後輸血がいるか

などの予測をすることができます.

・便の細菌培養検査

腹痛と下痢があり、細菌性腸炎が疑わしいときは便の培養検査を行うことがあります。

検査結果が出るまでに1週間程度かかることもあります。

・胃カメラ検査

胃に腹痛の原因となる病気がないかを調べるために行います。

通常は、検査日を予約していただきます。

検査当日の朝から食事を控えていただくなどの準備をした上で検査をさせていただきます。

胃アニサキス症などはアニサキスという虫体をとるため緊急で胃カメラ検査を行うときもあります。

・大腸内視鏡検査

大腸に腹痛の原因となる病気がないかを調べるために行います。

通常は、検査前に専用の下剤を2Lほど飲んで腸をきれいにしてから行います。

そのため、受診当日に検査はできかねます。

検査日を予約していただいた上で後日検査を行います。

緊急のときは、浣腸できれいにしてから検査を行います。

この場合は大腸全体を観察することはできません。

状況によって、専用の下剤を飲んでいただき再検査をおすすめする場合があります。

・CT検査

腹痛の原因によっては診断のためにCT検査が必要になります。

ただ、当院ではCT検査は行うことができません。

CT検査が必要なときは、CT検査ができる近くの病院のご案内させていただきます。

4.現状での診断と検査のご案内や治療の説明

これらの検査で現状で考えられる診断をお伝えいたします。

その上で、日常生活での注意点や治療法の提案をいたします。

腹痛が強く、緊急性や重症度が高いときはCTなどの検査機器があり緊急入院・手術が可能な総合病院をご紹介させていただきます。

慢性の腹痛で胃や腸の病気が考えられるときには、胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査をおすすめします。

胃や大腸の内視鏡検査を受けていただくとその日に診断がつくこともあります。

生検(病気の診断のために組織の一部をとって顕微鏡で調べる検査)をしたときには、結果が出た段階で最終的な診断をいたします。

最終的な診断によって、それぞれの病気にあった治療法を提案いたします。

また、近隣の医療期間にCT検査を依頼したときは、検査結果が届きしだいご説明・ご相談をさせていただきます.

以上が腹痛で当院を受診された場合の診療の流れになります。

少しでも診療の流れのイメージをつかんでいただけましたでしょうか?

述べてきたように、一言で腹痛といっても原因はたくさんあります。

中には放っておくと、命に関わる病気のこともあります。

・腹痛が強い

・腹痛がつづく

・出血や下痢など普段はないことがある

・いつもの腹痛となんとなく違うな

と思った時は当クリニックを受診してみてください。

腹痛治療で感謝されたことなど患者さんの声

私は、これまで腹痛で悩む多くの人を治療してきました。

感謝の言葉をたくさんもらいました!

その一部をご紹介させていただきます。

ケース1

・これまで、便秘にともなう腹痛があり便秘に対して市販の薬を飲んでいた患者さん

「長年便秘で悩んでいました。ただ、クリニックに通うようになってから便秘がよくなりそれによってお腹の痛みなくなりました。生活が楽に送れるようになってきました」

と喜んでいただけたこと。

ケース2

・数ヶ月前からの下痢と出血がある腹痛で悩んでいた患者さん

大腸内視鏡検査を行い潰瘍性大腸炎の診断で治療をスタート.

「症状が良くなり仕事に復帰することができました」

とご報告をいただいたこと。

ケース3

・1ヶ月くらい前から上腹部の違和感や痛みがあらわれ、市販の胃薬では良くならなかった患者さん

胃内視鏡検査を行い、胃潰瘍が見つかったため治療をスタート。

「これまでのお腹の痛みや違和感がよくなり、以前のように生活することができるようになりました」

と喜んでいただけたこと。

ケース4

・下痢のことが多くなり腹痛の強さや数が増えてきた患者さん

精密検査のため大腸内視鏡検査を行った結果、大腸がんが見つかり

「ただの腹痛と下痢と思っていましたが,大腸内視鏡検査を勧めてもらってよかったです」

とおっしゃっていただいたこと。

4つの患者さんの声を紹介させていただました。

私は、1人でも多くの患者さんがよりよい生活を送れることを祈り診療しています。

患者さんの笑顔や「ありがとう」の言葉を励みにこれからも日々頑張っていきたいと思っています。

文章全体の最後のまとめ

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。

『腹痛は体の異常のサイン』

ということがお分かりいただけましたでしょうか。

一言で腹痛と言っても胃や腸の病気だけではありません。

・胆嚢

・膵臓

・心臓

・血管

・泌尿器科

・産婦人科

の病気など、多くのことが考えられます。

また、腹痛の程度によっては命に関わるものもあり救急受診が必要なときもあります。

この記事が

・皆様の健康

・病気の早期発見

・大腸肛門科を受ける際の不安の軽減

これらのためにお役に立てれば幸いです。

草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)


■住所
〒340-0034
埼玉県草加市氷川町2144-11 アークプラザⅡ 3F

■TEL
048-951-0421

■アクセス
東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)草加駅西口3分

■診療時間
午前9:00-12:00 午後16:00-18:00
※初診の方は診療終了30分前にお願いいたします。

■休診日
日曜日・祝日・振替休日